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サキの忘れ物

サキの忘れ物

サキの忘れ物

作家
津村記久子
出版社
新潮社
発売日
2020-06-29
ISBN
9784103319825
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サキの忘れ物 / 感想・レビュー

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まこみや

初読み作家です。閉塞的で不条理な個の世界にいる人物に、ほんのちょっとした出来事がきっかけで、現実の世界への小さな風穴が開いて、そこから弱いながらも一条の光が漏れてくるようなお話だなあ。

2020/10/18

こーた

圧倒的な日常に、おもわず涙が出そうになる。ほっこり良い話の表題作からはじまるが、以降は不穏さを増していき、じわじわ現実から離れていく。膝小僧には王国があり、喫茶店ではさまざまな周波数が飛び交う。先に何があるのかわからない行列に並び、河川敷にはガゼルがいて、真夜中にゲームブックを彷徨い、隣のビルへ飛び移ればそこには異界が拓けている。人知れず誰かの人生を動かしていることがある。何気なく手にした一冊が、人生を変えることだってある。何かを読みはじめたいあなたへ。この短篇集も、きっと誰かの大切な一冊になるはずだ。

2020/12/22

美紀ちゃん

全く本を読まない人が、ふとしたきっかけで本を読むようになる話、そしてやがて書店で文芸担当として働くようになるなんて、素敵すぎる。私は図書館教育の仕事をしてるので、本が苦手な生徒がどうしたら本を読むのか?すごくすごく考えている。だからこういう話には心惹かれる。「行列」は、思いやりが大切だと思う。私は実際に過酷な行列に並んだことが何度かあるのでわかる。でも『あれ』って何?めちゃ気になる!ガゼルは検索して画像を見た。なるほどかっこいい。

2020/10/02

HMax

久々の津村さん、短編集。第一位 サキノ忘れ物:やっぱり本が好きになると人生が変わりますよ。実感ありあり。第二位 Sさんの再訪:Sが誰なのか方程式を解いているうちに分かる真実。日記は面倒なので無理ですが、面白い。第三位 喫茶店の周波数:ぼーとする時間が大切です。

2020/08/29

漆虎太郎

何気ない当たり前の日常、ありふれた光景の中の一言から、一歩の踏み出しから、明日が生まれてゆく様を描き出す、優しく小さな物語。読後はとってもおいしい紅茶を飲んだ時の気分。「サキの忘れ物」「隣のビル」のゆっくりと穏やかで静かな描き方がとても素敵でした。明日、自分の日常に関わる人や風景に、想いを馳せてみよう。いろんな物語を想像してみよう。意地っ張りな心が少し柔らかくなった気がします。

2020/09/09

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