熟成する物語たち
熟成する物語たち / 感想・レビュー
猫のゆり
正直ワインにはあまり興味がなかった。まえがきで「ワインと文学は双子のように似ている」とあって、最初は飲み物と読むもので全然違うだろー、と突っ込みつつ読んでいたのだが、読むほどになるほど、と頷かせられた。小説も読み終えて終わりというわけでなく、よい小説は記憶の中で熟成されて更に芳醇な香りを放っていく・・。最後の、日本の新しいワインの造り手をたどっていく旅も、とても心に残った。否が応でもワインが飲みたくなる。極上のワインを。
2012/06/04
ハルト
翻訳とワインの重なる部分。醸し出されるハーモニー。ワインについても翻訳についても、とても興味深く読みました。「すべての翻訳は誤訳である」とか、「自分にはよくわからない異質なものだからこそ翻訳する意味がある」という日本の翻訳者の姿勢だとか、「良し悪しや巧拙の基準も、時と場合によって移り変わっていく」など、なるほどなあとうなずいたり。もう少しワインについての知識があったら、もっと深く芳醇な味わいを堪能できたんだろうになあと残念。おいしいワインと料理が欲しくなりました。
2012/06/07
EnJoeToh
良かった。
2012/04/30
メイロング
ハードな文学論にプロの翻訳論、さらにワインの造詣が求められて、完走するのがやっと。別に難しい言葉で難しいことを論じているわけじゃなくて、ところどころ手の引っかかる場所があるのが憎い。ワインについてはどこの星の言葉?
2013/01/19
東隆斎洒落
「ワインと読書」についてのエッセイ。 ワインが熟成するように、文章も読み手の中で熟成されていく。 メタファー(比喩)の使い方も秀逸で、大変参考になる。 その他、「翻訳と評論の違いは、作者の言葉を実体験するか否か。評論は対象に肉薄するが、翻訳とは当事者になること。」とは、 「翻訳者」でもある著者だけあって示唆に富む。 「ワインは、時間を飲んでいる、時差を飲むもの」とあるが、ワインを片手に楽しみたくなる一冊。
2012/07/07
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