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ひらいて

ひらいて

ひらいて

作家
綿矢りさ
出版社
新潮社
発売日
2012-07-31
ISBN
9784103326212
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ひらいて / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

初期の頃の新鮮さは失われたが、その代わり随分うまくなった。残る不満はトポスだ。今回の小説でもそうなのだが物語空間のほとんどが高校の教室とその周縁で展開しており、それらを包み込む環境が欠落している。末尾でわずかに語られるものの、東京へバスで16時間の距離にある町ということしかわからない。また、きわめて情熱型の「私」の思惟や情動は高校生にはそぐわないが、これも他の夾雑物を廃した結果、感情表現をもっとも純化できる場として高校が選ばれたのだろう。よくできた小説だとは思うが、そうした抽象化を乗り越えてほしいと思う。

2015/03/28

巨峰

端正な出だしから詩的な文章が続き、高校生ものだし今回は抑えた感じでいくのかと思いきや、いやいや、こんな痛すぎる展開が連続するなんて!愛ちゃんは、恋愛小説のヒロインとしては史上最悪最凶やないですか。痛くて痛くて見てられなーいと思いつつも、一気読み。普通の恋愛小説なら美雪ちゃんがヒロインで、それを虐める悪役的な存在として愛ちゃんだと思うのだが、綿矢さんは思い切り逆転させましたね。ま、恋愛小説といっていいのかどうか。/大きな飛躍と比喩表現の格調の高さ。この小説、どこを切っても純度100%の綿矢りさ!

2012/11/06

風眠

「存在するだけで私の胸を苦しくさせる人間が、この教室にいる。さりげないしぐさで、まなざしだけで、彼は私を完全に支配する。」序盤の描写に心がじんじんとした。何となく感じていても言葉にできない想い、そういう感情を絶妙な空気感で言語化できる綿矢りさの才能が素晴らしい。愛が恋したたとえには病気の恋人がいる。何もかも破壊してやりたいという病的なまでの衝動にかられ、愛はたとえの恋人とも関係を持つ。好きだから全部めちゃくちゃにしてやりたい、そんな愛の暴走がひりひりと痛い物語。ラストの「ひらいて」、不思議と刺さる言葉だ。

2013/01/03

hiro

綿矢さん作品4作目。『蹴りたい背中』の同じく片思いの女子高生の話。主人公‘初美’が、片思いの相手‘にな川’の背中を蹴りたいという思いに駆られる『蹴りたい背中』に対して、この作品『ひらいて』の主人公‘愛’は、よりパワーアップして、片思いの相手‘たとえ’の恋人‘美雪’を寝取るいう暴挙にでる。この違いは、どこからくるのだろうか。前者は綿矢さんが主人公と同じ十台のときの作品、後者は主人公と十歳離れた二十台後半の作品という違いがある。この9年の差が、似た題材に対して味付けの仕方をこのように変えたのだろうか。

2012/11/14

takaC

終盤の怒濤の展開に素直について行く事ができなかった。自分にはだいぶ難しいお話でした。

2013/02/02

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