亡国の密約 TPPはなぜ歪められたのか
亡国の密約 TPPはなぜ歪められたのか / 感想・レビュー
Willie the Wildcat
ウルグアイラウンドを踏まえたTPPに繋がる過程は、確かに”亡霊”。政治、つまり選挙を超えた国家貿易と商業的考慮は共通故に、最後は国力の差異。結果がMA米の按分率という名前の思いやり予算。ダメ押しとなるリーマンショックや中国台頭などの経済・安保問題。結局、アメリカの実利に振り回される構図に、与野党の差異はない。但し、塩飽vs.オメーラ、甘利vsフロマン、官僚・閣僚レベルでの折衝の凄まじさは少なからず読み取れる。記載はないが「内国民待遇」とICSIDによる縛りは過去の”思いやり”との差異という感覚。
2017/03/01
maylucky
米国は多国間交渉の席で自由貿易、機会の平等など崇高な理念を唱える一方で、二国間協議の場ではしっかりと自国の利を確保すべく高圧的態度で臨む。20年近く前に聖域とされた米の輸入に関して米国との間に交わされた密約。高価なカリフォルニア米を我々の税金で毎年一定量輸入させられている事実を果たしてどれだけの人が知っているだろうか。TPPに関しても、その詳細はヴェールに包まれて我々には見えてこないが、おそらくは沢山の譲歩を日本は余儀なくされたのであろう。まあ米国が撤退を表明すれば空中分解だから、ひとまず安心できるか。
2016/11/26
koba23
TPPはあまり国益にそぐわないと思っていたので、この本を読んで見たのですが、ウルグアイラウンドの頃からこの手の交渉はあまり進歩がない、どころか、その頃より交渉が下手になっている感さえある。
2016/10/23
マツシン
民進党の緒方林太郎議員のブログ(16/07/11「コメの密約」)で紹介されていたのを見て本書を手にとった。日米交渉の裏側という複雑な題材でありながらも、面白く読み進めることができた。輸入反対を訴える国内からの突き上げ。市場開放を要求するアメリカからの圧力。ドキュメンタリーを見ているかのように、2国間の交渉をめぐる様子が書かれている。今後のTPPの動向と、農政改革の動向に関心を持つきっかけになった本であった。
2016/09/20
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