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怪物

怪物

怪物

作家
東山彰良
出版社
新潮社
発売日
2022-01-31
ISBN
9784103346531
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怪物 / 感想・レビュー

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starbro

東山 彰良は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。「流」の系統の夢の中の私小説、エンタメとして読みましたが・・・ 我々の世代で怪物と言えば、やはり『怪物くん』です(笑) https://www.shinchosha.co.jp/book/334653/

2022/02/28

みっちゃん

自死した叔父を描いた小説『怪物』が、作者の主人公も自らを物語の登場人物のように感じる。どこまで現実で、どこから虚構なのか。それともこれは只の夢なのか。それらがお互いに侵食し合うような不安定な中で語られる、台湾と中国の間に横たわる複雑な歴史。彼が不倫の果てにとんでもない事件で失恋して、虚脱感に囚われるのに下半身の欲求に逆らえない愚かさを笑いながら愛おしいとも感じる。声を限りに叫びながらひたすらに走る、作中作のラストではないあの場面で物語を終わらせる処がすごく良い。これはやっぱり生き直しの物語なんだと思った。

2022/04/21

utinopoti27

台湾出身で日本育ちの「私」こと作家の柏山康平が主人公。彼がかつて叔父の話をもとに書いた日中戦争に関わる作品が、10年の時を経て一躍脚光を浴びたところから、物語の幕が開く。本作では、現実と作中作が交錯しながら進む手法が用いられているのだが、次第にその境が曖昧なものになってゆくあたりで、主人公の葛藤やら恋愛観やらが延々と語られる。自由とは何か、愛とは何か・・。この手の文学作品は、格調高い一方で、盛り上がりに欠けるため、かなりの読書力が要求されると思う。ゆえに今の自分では斜め読みが精一杯。徒労感だけが残った。

2022/08/31

ずっきん

わたしにとって東山彰良と最高は同義語である。在日台湾人の作家とその著作『怪物』が夢かうつつかとばかりに入り乱れながら進む物語。しかも初っぱなに夢オチであると宣言し、ネタ割れで挑んでくるんである。マジックリアリズムかと思えばちゃんと付合し、油断してると惑わされる。痺れる筆致、どう転がるのか予想もつかせない展開。ああ、読む喜びが途切れない。愛と自由に泣き笑いし、冒険譚に胸が踊る。ジャンルでは括れない作家さんとはいえ、よくぞここまでぶちこめるもんだなあ。東山彰良全部入りみたいな贅沢な逸品。むろん年ベス入り♪

2022/02/23

たいぱぱ

これはいったい何なんだろう?夢か幻想か…もしくは策略なのか…この『怪物』のストーリー展開に対しての言葉であり、『怪物』を読んで「凄い」と僕が感じた要因に対してである。鳥が随所に出てくるところであったり、夢なのか現実なのかわからないところなど村上春樹さんの『ねじまき鳥クロニクル』を連想させられたが、東山さんの方が硝煙を帯びた狂気が真に迫ってる気がする。訳が分からない部分があるのにも関わらず、圧倒的な筆力の前に何故かストンと腑に落ちてしまってる自分がいる。何だかわからないが「圧倒された」余韻だけが残っている。

2022/09/13

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