八月の銀の雪
八月の銀の雪 / 感想・レビュー
starbro
第164回直木賞候補作(既読5/6)となってから図書館に予約したので、漸く読めました。伊与原 新、初読です。誠実ながら弱者の市井の人々を描いた短編集、理系の著者ならではの科学のスパイスが効いています。直木賞候補作&本屋大賞6位(本書で10/10コンプリートです。)も納得の良作でした。オススメは、表題作『八月の銀の雪』&『海へ還る日』です。 https://www.shinchosha.co.jp/book/336213/
2021/05/29
kou
5本の短編で構成されていたが、どの話も自然や科学がテーマになっており、作者の優しさが、疲れた心に染み渡るような、心が温かくなる読後感だった。一気読みしてしまったが、眠る前に、1話づつ読めば、毎日、幸せな気分で就寝できたのになぁ~と、一気読みした事を少し後悔した。この著者の本を読むのは2作目だが、他の本も読んでみたい。
2021/03/03
kotetsupatapata
星★★★★★ 流石は本屋大賞にノミネートされた作品だけあって、読後優しく温かい気持ちに包まれる良本でした。 各々の章で人生の壁にぶつかって、もがいている主人公が、偶然出会った人との交流で希望を見出だし、又新たな一歩を踏み出していく 目を閉じるとその情景が浮かんでくるようです。 著者自身理学部卒業との事で、少し理系の語りはマニアックな点もありましたが、「珪藻アート」なるものの存在は初めて知りました。 どの話も良かったですが、個人的には「アルノーと檸檬」「玻璃を拾う」が印象に残りました😄
2021/02/17
bunmei
専門的な科学や生物の知識を織り交ぜながら、日常の一場面を切り取り、無機質な科学の世界と情緒的な文学を融合した作品。私のような科学音痴の人間にも、自然の摂理に改めて目を向け理解し合う場を提供してくれている。また、本作の5編全てが、様々な人々との出会いから始まり、他者との出会いや繋がりは、社会における人の成長において欠かすことのできない営みであることも、併せて伝えている。人の内面的な本質を見誤らなかったことで、物語の最後には、新たなる道を見つけ、歩み出そうとする主人公達の姿が描かれ、爽やかな読了感が残った。
2021/03/05
ウッディ
手際の悪いコンビニ店員のグエンは、ベトナムから地球の内部を勉強するために留学していた大学院生だった。就活が失敗続きで自信を失っていた堀川は、彼女と話をして、地球の内部に別の層があるように、表面とは違うその人の本質を見ようとしなかった自分を反省する。クジラの歌、ハトの帰巣本能、珪藻の精緻な姿、そしてそれを究める研究者のひたむきな姿が、挫折を味わい、生きる目標を失いかけた人の確かな道標となり、生きていく勇気を与える。自然科学と文学の融合という新しい試みがあり、今後も追いかけたい作家さんの発見となりました。
2021/10/02
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