葬送の仕事師たち
葬送の仕事師たち / 感想・レビュー
扉のこちら側
2018年110冊め。家族に不幸があったばかりで、かさぶたを剥がすようにあえて手に取った。葬儀社社員、納棺師、エンバーマー、火葬場職員等、葬送の仕事へスポットを当てたノンフィクション。P.154 に出てくる東日本大震災の遺体安置所は私も縁があった場所で、あの時を思い出される。細切れのご遺体を集めたこと。どうにも真水が入手できずに申し訳なくも海水で洗って土葬にしたこと。災害時に関わらず、死にざまも遺体の状態も様々であり、その別れをどう演出していくか、プロの矜持を読ませてもらった。
2018/04/20
モルク
葬儀のプロを目指す専門学校の学生、実際の仕事をしている葬儀社の社員、納棺師、死体を遺体にする復元師、エンバーマーそして火葬場の職員にそれぞれスポットをあて「死」の現場にいる彼らの声を聞く。以前は人の忌み嫌う仕事であったものが、彼らは情熱と誇りを持ち高い意思で物言わぬ遺体に尊厳を持って向き合う。その姿勢に頭が下がる思いであるとともに、逆に私たちも薦められるままの葬儀、よくわからず「真ん中くらい」の式にするのではなく、どうやったら死者に寄り添えるのかを考えなくてはならない。
2018/03/12
きみたけ
正直葬儀社の裏の仕事についてよく知りませんでした。著者はフリーライターの井上理津子さん。葬儀社社員、湯灌師、納棺師、復元師、エンバーマー、火葬場職員など、人生最期の「旅立ち」の手助けを生業とする人たちに耳を傾け、「光があたることのなかった仕事」にスポットをあてた感動の一冊。渾身のルポだけに読み応えは抜群ながら、腐乱していく遺体の状況や整形を施していく細かい描写はなかなかエグい感じです。以前読んだ「超孤独死社会」や東日本大震災の遺体描写よりまだましですが。亡くなった方へのリスペクトがよく伝わりました。
2022/11/30
ユザキ部長
葬儀は故人への究極のサービス業と昔から考えてた。その考えを深く掘り下げると「接遇」なんだと思った。そしてサービス業であると供にプロ意識の高い職人でした。「僕ら葬儀屋は傘。亡くなった人のご家族の傘。深い悲しみに陥った家族がやがて一区切りするとやがて日常に戻る。傘なんて必要なくなる。電車の中に置き忘れるぐらいがちょうどいい。」フューネラルディレクター、納棺師、エンバーマー、湯灌師、火葬人、その他沢山の職業。根底にあるのは情熱なのだ。
2016/09/27
metoo
以前からこの業界に興味があったので手にした。葬儀のプロを養成する専門学校があるのに驚いた。葬式を執り行うフューネラルコーディネーター、遺体の修復、殺菌、防腐処置を行うエンバーマーを養成する。その道を選ぶ人の中には大切な人を早くに亡くした人も多い。実際に葬儀屋として働く人々の生の声も興味深く、湯灌・納棺・復元の現場やエンバーマーのインタビューも驚きの連続。何より火葬場での見学、インタビューには絶句した。綺麗に骨を焼くことがいかに難しく機械に頼れない仕事なのかが知れた。これからの葬儀のあり方も興味深い。
2015/08/22
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