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欺す衆生

欺す衆生

欺す衆生

作家
月村了衛
出版社
新潮社
発売日
2019-08-27
ISBN
9784103395324
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欺す衆生 / 感想・レビュー

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ミカママ

500ページ超の大作を一気読み。登場人物たちの魅力(いや詐欺師やヤ◯ザなんだけどね)と、当時の世相(リアルネーム続出)が螺旋状に絡んだフィクションの魅力。バブル期、証券業界の端っこにいたわたしだが、一口何十万、何百万なんていうファンドが、営業電話一本で右から左へ成約していったことなんかを思い出しつつ。その本質や実態は、売ってる方も買ってる方も理解してなかったような気がするのだが。そういうビジネス(!)のコアは、手を替え品を替えて、令和の今日までも脈々と息づいているんだろう。

2021/06/05

starbro

月村 了衛は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。豊田(横田)商事の残党達による悪徳商法ノワール・クロニクル、一気読みしました。悪徳商法のオンパレード、悪い奴のてんこもり、人間の慾が消えない限り、悪徳商法は滅びないんでしょうね。因みに私の父は、大昔に原野商法に引っ掛かり、最近、原野商法の二次被害に遭いそうだったところを、私が食い止めました(苦笑)ところで近頃、バブルの礼賛?や総括的な本が多く出版されているのは、何故でしょうか?

2019/09/17

しんたろー

衆目の中での会長が刺殺されて記憶に残る豊田商事事件から始まって、平社員だった隠岐を主人公にした裏社会の物語は原野商法や和牛商法など実際の詐欺事件をモデルしたサスペンスフルな展開で全く飽きない。「全員悪者!」映画の謳い文句のような曲者揃いなのも面白い。隠岐が悪党なりの矜持で突き進むのもイイし、家族に疎外される哀しさも沁みる。ピンチとチャンスの繰り返しが緊迫感を持続させて500ページが長く感じず、特に終盤100ページはドキドキした。『機龍警察』やエンタメ作も見事な著者が、悪漢社会派小説も上手いことを証明した。

2020/04/11

いつでも母さん

「人を欺すためなら、自分を欺すことなんて簡単に出来る。そういうもんだろ、人ってさ。」全編通して『欺く』ことのオンパレード。もう、命尽きるまで欺き続けるしかないのだ。初めはそんなつもりじゃなかったのに、ずぶずぶと逃れられない男・隠岐がもう滑稽ですらあるのだ。人は簡単に騙される。うまい話には裏があるよね。騙される方が悪いのか?カバーは私たち衆生なんですね・・欺く奴らにいつか天罰が下れ!面白く一気読みでした。

2019/09/18

utinopoti27

安アパートで家族4人倹しい生活を送る隠岐は、詐欺会社の営業マンだった過去を持つ。ある日昔の同僚に誘われ、いやいや始めた原野商法をきっかけとして、再び詐欺の魅力に取り憑かれた彼は、次第に泥沼にはまり込んでゆき・・。より狡猾に、大胆にエスカレートしてゆく手口とともに、金の匂いに誘われて群がる魑魅魍魎たち。ついには殺人にまで手を染めながら、家族の前では誠実な父親を演じ続けようとする主人公が滑稽でもある。本作は、あの豊田商事をモチーフに、欲にまみれた「衆生」の醜い本性を徹底して描き切った著者渾身の力作。

2020/11/05

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