数学する人生
数学する人生 / 感想・レビュー
ぐっちー
人は大宇宙という一本の木の、1枚の葉のようなもの。宇宙という一本の木の1枚の葉であるということをやめたらただちに葉は枯れてしまう・・・。ユグドラシルを彷彿とさせる壮大な言葉に飲まれた。数学という方法で心を表現し、情緒という概念で人間の通奏低音を指し示してくれた。初めて触れた岡潔の思想は難しい部分もあるけど不思議と心地よく、人間の温かさがあった。折を見てまた読み返したい。
2016/05/31
hnzwd
数学界に多大な功績を残し、文化勲章も受賞している数学者 岡潔。数学者ながら情緒とか少し変わった考え方を持っている方、という印象でしたが、本書を読んで考えが大きく変わりました。情緒とはどういうものなのか、ということがきちんと定義されているから他者に対して言語化して説明できるのでしょう。自分自身もこうありたいものですが、、大変だろうなあ。。
2022/07/11
trazom
岡潔先生の京都産大の最終講義、パリでの日々、「情緒」についての論考など、生前に書かれたものが纏められている。断片的な文章の収集だから、先生の思想の全貌が分かりにくくなっている気がするが、それでも、文章の端々で、この異能の学者の深い思索に出会う。「情的に分かる」という感覚は先生らしい。分からないものに関心を集めている時には、既に、情的には分かっている。発見するとは、情的に分かっているものが知的にわかることだとする。西洋的な物質的価値観へのアンチテーゼとして先生が求めた東洋的・日本的なものを知ることができる。
2016/04/29
ミッチ
以前から破天荒な方とは知っていましたが…… この作品を読んで、思った以上な方だと知りました。今、話題の熊谷守一と同等な方です。 岡先生は文化勲章をもらい、熊谷さんは拒否したその違いはありますけど……
2018/05/16
makio37
読了した今も岡の言う「情緒」が私には理解できない。しかし、理性で解らなくとも、読者に少しでも「体得」してほしいという編集者の思いは伝わってくる。「人というのは、大宇宙という一本の木の、一枚の葉のようなもの」という言葉が印象に残る。幸福とか生き甲斐は「生きている木から枝を伝わって葉に来る樹液のうちに含まれている」のであり、関心の集め方により「自分」は葉であるとともに木でもあるのだとも。木から来るものを断ち"自分=葉"とする個人主義に染まった頭を柔らかくしてくれる。
2016/05/08
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