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許されようとは思いません

許されようとは思いません

許されようとは思いません

作家
芦沢央
出版社
新潮社
発売日
2016-06-22
ISBN
9784103500810
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許されようとは思いません / 感想・レビュー

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Yunemo

5編がそれぞれに、胸の奥底に溜め込まれていた感情が表に滲み出て、或いは突然の噴出となって。一面やり切れなさが残るけど、これって誰でもが持つ感情なんでしょう。表に出てくるのか、永遠に眠ったままなのか。さっと読んだだけでは見逃してしまう何気なさ。読みながら同時理解ができずに、もう一度何ページか戻って読み込む。「あっ」という悲鳴を飲み込んでの理解感。心をザラッと撫でられる感覚だけが後々まで残ってます。表に出てくる悲惨な事件の裏側、それでも心の闇に支配された時に起こり得る現実。重苦しい読み味、でも満足感を伴って。

2016/12/14

風眠

強気な帯のあおり文。ホントに?なんて疑いながら読み始めたら、素晴らしく極上なミステリー短編だった。短い中にも起承転結があり、どんでん返しも鮮やか。イヤミスなんだけど気持ち悪くないのもいい。いわゆる「変な人」が出てこないからなのかな、って思った。どこにでもいそうな普通の人が、ちょっとした事で転がり落ちていく時の心の動きは、いかにもありそうで。終わりの見えない孤立、自分の首を絞める嘘、自覚のない支配、思い込んで追い詰められてしまう心理、芸術家の業と狂気。どれも「あぁ、そうなるよね」と納得できるリアルさがある。

2018/02/15

yoshida

芦沢央さんは初読みの作家さんです。珠玉の短編集。短編5編で構成。ページを捲る手を止めることが出来ない。どの作品もほの暗さがあり、そこに含まれる謎、悪意や焦燥という感情、最後に顕になる真実は衝撃的である。そして耽美があり、私はその暗い美しさに惹き付けられる。米澤穂信さんの「満願」に似た雰囲気を持つ。標題作の夏祭りでの嫌悪感。「目撃者はいなかった」の焦燥。「ありがとう、ばあば」の悪意。「姉のように」のトリック。「絵の中の男」の耽美と狂気。どの作品も高い水準にある。好みは別れると思うが、私にとって絶品の作品集。

2018/05/04

遥かなる想い

2017年このミス国内第5位。 日本古来の王道ミステリーの雰囲気が 懐かしい。短編集の底を流れる 暗い情念のようなもの..表題作は「村」の 異様さが日本ミステリーらしく、素直に嬉しい。呪いとか 祟りのような日本的な要素を プロットに絡ませると、物語に勢いの ようなものを感じるのは私だけなのだろうか。 よくある話だが、まとまりのよい短編集だった。

2017/01/08

しんたろー

芦沢央さん初読み。タイトルが気になっていたが「イヤミス」 という声が多かったので何となく後回しにしていた。皆さんの 評価に異を唱えることになるが、単純に「イヤミス」という ジャンルに区分けするには勿体ない作品だと思う。その要素も あるが、人生の「あや」や人の「業」を巧みに描いていて唸ら される部分も多かったし、どんでん返しで読者を楽しませよう とするサービス精神も旺盛で、キャリアが浅い作家とは思えない筆力。特に表題作は哀しく辛い話なのに読後感が良い結び方 で、今後に大きな可能性を感じる。

2017/04/25

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