最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常
最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
今時の大学では早々と1年生の時から、やれキャリア教育だの何だのと卒業後の就職のことばかり考えているようだが、東京藝大ではさすがに浮世とは全く違った風が吹いている。美校のデザイン科の学生を除いては、ほとんど誰も卒業後のことなんて考えていない。それよりも今を芸術に生きるのだ(もちろん例外もある)。これでこそ大学本来の姿だと思う。教授もまたすごい。油画専攻の講評で「君の絵はここにある」、「俺の絵はアメリカにある」、「『愛』だね!」―この3言で講評は終わり。これでは、まるで『東京バンドワゴン』の我南人だ。
2016/11/15
鉄之助
「三浪ぐらいは当たり前」。入試倍率は東大の3倍! という東京藝大に、妻が在籍している著者が潜入して書いたルポ。卒業生の半分くらいは行方不明、とか学校に泊まり込みOKの学科があったり、あまり知られていない「東京藝大」の実態が分かって面白かった。学生も教授陣も共にユニーク。入学時に学生が言われた、学長の言葉。「何年かに一人、天才が出ればいい。他の人はその天才の礎。ここはそういう大学なんです」にぶっ飛んだ! これだけ明確に言い切られると、逆に気持ちがいい。エピソード満載で全編読みやすく、一気に読了。
2024/03/19
mitei
まずとてもカオスな世界が日本にあるんだと驚いた。実際に行って見てみたいな。一芸に秀でるとこういう感じになるのかと思うし、私もこんなに夢中になれるものがあればなぁと思った。
2017/03/25
ミカママ
藝大出身と言うと、過去の同僚にひとりだけいたなぁと、ピリピリとエキセントリックな彼女を思い出しながら読んだ。彼女は打楽器出身だったんだけど、この本によるとなんと定員3人?!宝くじ的な入学倍率じゃないか。なんもかんもが通常の大学に比べると突き抜けちゃってる学び舎、それが藝大なのだが、これだけのユニークな人材を持ってしても、アートで食べていけるのはひと握り、いやひとツマミだそうで。お金はかかるのに、お金にはならないアート、という法則がここでさえも発令しているらしい。
2019/03/18
青乃108号
タイトルに偽りあり。思った程カオスではなかった。芸術家のたまご達はちゃんと努力して、その道のプロを目指しているようだ。本物のプロとして成功するのがホンの一握りであったとしても。カオスを期待して読み始めたが違った。唯一それらしいと言えばブラジャーウーマンぐらいか。肩の力を抜いて笑える本かと期待すると肩すかしをくらう。確かに、芸大の学生は皆凄い。凄くはあるがカオスではない。俺の学生時代の方がよっぽどカオスだったよ。面白くはなかったけどね。
2021/09/17
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