五つ星をつけてよ
五つ星をつけてよ / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
しっかりハマって読み続けた奥田さん作品もコレで手持ちがなくなり、6冊目となりました。まだまだたくさん読んでみたい作家さんです。今作は今や誰もがフツーに閲覧し、使用(利用)しているSNSをあつかった短編集です。当たり前ですが、誰もが気軽に利用できるだけに、規制があってないようなモノで、利用する側としては本当に気をつけなければならないですよね。一番最初の’既読スルー’をテーマにした作品と1度も会ったコトのない大学生バンドマンに恋する中学生の話が、とても印象的でした。作品によっては湊かなえさんっぽいかなと。
2018/07/21
🐾Yoko Omoto🐾
コミュニケーションツールで仲間を見つけ、自分を発信することで得る満足と安心感。だがその傍らで、軽薄な繋がりが思いもよらぬトラブルに転じたり、自分の現実を救ってくれるものではないことを当たり前に思い知ったりする。理想の虚構と寂しい現実のコントラストや、膨れた承認欲求の果てにあるものが、細やかな心情描写に乗せてリアルに描かれた物語は、チクチクヒリヒリと心に刺さる読後感だ。マイベストは、ネット上の恋人に自らを曝しすぎたせいで、辛い現実と向き合うことになる少女を描いた「ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ」➡(続)
2017/01/12
はる
思ったよりビターな味わいの短編集。登場人物たちの不安や葛藤が繊細に描かれていて引き込まれました。表題作や「キャンディ・イン・ポケット」のような、不穏な雰囲気からラストにホッとする展開の話が好みかな。最後の話はかなりシニカルなタッチ。締めの一節も少し皮肉が過ぎて、それまでの物語と違和感を感じました。
2019/09/23
sayuri
「キャンディ・イン・ポケット」「ジャムの果て」「空に根ざして」「五つ星をつけてよ」「ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ」「君に落ちる彗星」6話収録の短編集。ネットの世界を背景に描いた6つの短編は全て読みやすいがヒリヒリとした痛みを伴う。既読スルーで友人との距離間を量ったり、クチコミの星の数でしか物事を決められなかったり。どれも私達のすぐ傍で起きている事だ。親離れした子供達に甘いジャムを送り続ける「ジャムの果て」は母親の、親子間の愛情を盲信した果ての狂気に戦慄する。軽やかなタッチとは真逆なリアルSNS小説。
2021/06/24
モルク
SNSやブログが共通項の6編の短編集。よかれと思ってやっているのになぜか空回り、家族からも自分本意と疎まれ…という「ジャムの果て」は亡くなった実母を思い出す。押し付けにならないように自分も気をつけなければ、と思う。どの作品も、ちょっと心がチクリ、ヒリヒリ痛くなる。とても読みやすい一冊。
2019/05/16
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