不発弾
不発弾 / 感想・レビュー
starbro
相場英雄は、新作中心に読んでいる作家です。旬の作家が旬の話題を書いているので、一気読みです。もう少しスピード感があって、スパイスが効いていたら、傑作「ガラパゴス」を超えていたと思いますが・・・バブルから現代に至るまでの大企業の闇、現実はどうなるのでしょうか?上場廃止以前に実態のない会社になったら、意味がない気がします。東●はどうなっちゃうのかなぁ?
2017/03/14
サム・ミイラ
天網恢々疎にして漏らさず。そんな言葉が浮かぶ。この二人の出会いは天の配剤だったのか。普通ならありがちで作りすぎな偶然と落胆するところだが。物語は現在と過去を交錯させながら進む。主人公の古賀は私と同い年。生まれ育った環境は違えど日本の歩みと重ね共感を覚える魅力的な人物である。株取引を何年かしてきた私としても非常に面白く勉強になる話で東芝の問題も読み解ける。同時に怒りが込み上げる。これでは国も認めた合法的な詐欺ではないか。彼を追うキャリアの小堀もまた魅力的な人物。時を超える対決はまさに手に汗握る傑作だ。
2017/03/22
しんたろー
まるで1977年から今日までの日本経済史を紐解くような物語 で、相場さん得意技の過去と現在が交錯する手法と、主人公・ 古賀と彼を追うキャリア管理官・小堀の視点を交互させる手法 で、飽きさせずに読ませてくれる。経済サスペンスなので用語 に慣れるまで読み辛さはあるが、ピカレスクものとして古賀の 活躍を楽しめる。経済音痴の私には「あれは、そういうこと だったんだ!」と歴史の裏側に驚いて勉強にもなった。古賀の 裏社会で生きる動機に、もう少しページを割けば、もっと感情 移入できる傑作になったと思うのは欲張りかな?
2017/06/02
Yunemo
後味良くありませんね。前半の詳細にわたる表に出ない数々の、現在進行中のそして過去の経済金融事件、これらの赤裸々さに、成程と改めて理解。外資にやられた日本金融が、その仲介役の金融コンサルが、あからさまに表現されて。それなのに最後がどうしてこんなに大雑把に終えてしまうの。現政権下だから仕方がないのかな。今も残ってる不発弾、隠れた負債って、やっぱりあるんでしょうね。金融の仕組みと人間の弱さとが正に現実感。ほんとに今の経済・金融政策でいいの、不安感が残ったままに。花粉症とインフルエンザの話に、確かにと頷くばかり。
2017/04/09
yanae
久々の相場さん。震える牛も面白かったけど、今回もすごく面白かった。社会派と言われる相場さん、今回は企業の粉飾や証券など金融がテーマ。私全くそちらの方に明るくはないけど、問題なく楽しんだ。⬅詳しかったらもっと楽しいのかも。古賀遼という謎の人物の生い立ちと、警視庁エリートの小堀が古賀に近づいていく二つの視点で話が進みます。古賀が決して正義ではなく、むしろ限りなくクロに近いのに、なぜか肩入れして応援して読んでしまった。魅力ある人物でした。小堀は他の作品にでてるのかな?個人的に小堀を応援できる作品でまた会いたい。
2017/05/12
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