KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

これはただの夏

これはただの夏

これはただの夏

作家
燃え殻
出版社
新潮社
発売日
2021-07-29
ISBN
9784103510123
amazonで購入する

これはただの夏 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

machi☺︎︎゛

表紙の焼き飯に惹かれて手に取った本。初めての作家さんだけどめちゃくちゃ好きな感じだった。テレビの製作の仕事をする主人公とその先輩と同じマンションに住む10歳の明菜と風俗店で人気嬢の優香。それぞれの夏がさらっと書かれているんだけどとても切なくてセンチメンタルな気持ちになった。主人公が明菜と再開する冬バージョンとかも読みたい。

2021/11/04

aoringo

冴えないTVマンの中年男の一夏の出来事。同じマンションに住む少女と風俗で働くNo.1女子といつの間にか擬似家族めいた気持ちを抱くようになる。底辺での暮らしの中で諦めることや希望を持たないことが身に染みついている彼らのわずかな繋がり。あまりにもささやかな願いはこの雑然とした世界ではちっぽけでよく見てないと見逃してしまいそう。また夏が来るたびに思い出して、その眩しさがこれからの彼らの人生を照らしてくれればいい。そんなことを思った。

2022/12/16

Willie the Wildcat

ひと夏の出会いで、他者の人生経験を垣間見、自身を振り返り、人生に向き合う。迎えた”静かな”別れ。明菜が齎す転記の数々の中でも印象的なのが、プールで熱いモノが込み上げた主人公の件。一方、対照的な意味で頭に残るのが「普通」の件。悪気はなくともその解釈は多様。親として口にしたことは無いつもりだが、ふと頭にもたげた経験はある。加えて「先取り」も経験あり。私の場合、失望するのが怖かった。口にするのはもちろんだが、認めたくもない気持ち。そんな気持ちも和らげるかのような食べ物に”温かみ”。炒飯におにぎり。感謝、再認識。

2022/03/24

もぐもぐ

夏の終わりはなんだか寂しくて切ない気持ちになる。そんな読後感。 「ただの夏」に出会った人たち、来年の夏もどうか元気でいて欲しいし、毎日が普通に最悪でなくなっていて欲しい。

2021/08/04

漆虎太郎

本作を読み終えた後、近いようで遠くにある入道雲の青い空が浮かび、夏の匂いとともに汗ばんだいくつかの思い出が去来して、そいつらにも「これは ただの 夏」というタイトルをつけてやりたくなりました。好きだな、どうしようもないダメな大人の御伽草子みたいな燃え殻さんの作品。海辺で光っている貝殻みたいに、いつまでも胸の中で反復している言葉って誰しもいくつか持っているよね。あの時違う言葉を返せたら・・。夏が来るたびに思い出す、それは宝物なのかもしれない。人生なんてほとんど忘れることの方が多いから。なんてこと思えた作品。

2022/01/07

感想・レビューをもっと見る