カーテンコール!
カーテンコール! / 感想・レビュー
風眠
『幕が下りた、と思ったその先に、本当の人生が待っていた』読後、この帯文が心に響く。もうだめだ、そんな風に諦めてしまう事は簡単。終わりだと決めつけてしまっては、歩むはずだったその先は永遠に閉ざされたままだから。心や体に事情を抱えた「ワケあり」な学生達と、ひょうひょうとして神出鬼没な理事長が繰り広げる、全員卒業までの連作短編。それぞれの問題と向き合い、少しずつ前向きになっていく学生達と、見守り育てる、理事長の教育者としての想い。「あなたは素晴らしい」ひまわりの花言葉が、歩みだすその背中を、力強く押してくれる。
2018/01/25
ウッディ
閉校になった萌木女学園。単位不足で卒業できなかった学生たちを集め、半年間の補修合宿が行われた。集まってきたLGBT、拒食症、リストカットなど心に傷を負った人たちの最後の学生生活を描く。加納さんらしくない、深刻な背景を抱え、一筋縄ではいかない登場人物たちのエピソードが語られる前半も、理事長や友達の優しさに触れ、心を開いていきます。開校にまつわる理事長のお姉さんの悲劇と学生たちへの想いは、温かく、感動的で、加納さんの物語になっていました。
2018/04/14
zero1
🌻あなたは素晴らしい。問題を抱える人はかなりいる。しかし問題ある人を救う人もいる。そうして世の中はバランスが保たれている。閉校が決まった女子大。単位不足の学生を寮に集め缶詰状態で補講を実施。彼女たちは学習以前に心身の問題が重い。理事長の決意には何が?モラトリアムの大切さ。本書を【作り過ぎ、ご都合主義】と批判する方には小説を読む資格があるのか。少なくとも私には【読む価値あり】の一冊。名言多数(後述)。あまり知られてないが作者の夫は貫井徳郎。自身の経験から白血病の闘病記も出している。
2023/01/09
しんたろー
廃校が決まった女子大で卒業できない訳アリの学生…病気で突然眠る娘、性同一性障害の娘、BL執筆で昼夜逆転した娘、摂食障害の娘、自殺未遂を繰り返す娘…半年間の軟禁のような補講合宿が行われる ⇒ まるで、テレビドラマのような設定だが、加納さんの手にかかるとスッと物語に入っていける。ユーモアある文章、ミステリとしての巧い展開、前向きになれる読後感の連作短編で、アッという間に読めた。厳しさを含んだ真の優しさに溢れた、若者へのエールが清々しい。最後の理事長のスピーチは涙ながらに拍手!大学生の娘にも読ませたい良作!!
2018/03/19
紅はこべ
NHKBSプレミアムあたりでドラマ化されそうな。角田大造理事長は角野卓造かな。『トオリヌケキンシ』の作者らしい作品。有村夕美と梨木朝子って名前で遊んでる。菜々子にだけ謎が残った。毒親という表現をしないのが理事長らしさなのだろう。
2019/05/07
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