1ミリの後悔もない、はずがない
1ミリの後悔もない、はずがない / 感想・レビュー
starbro
5月の第一作は、インパクトのあるタイトルの本作です。王様のブランチのブックコーナーで紹介されたので、図書館に予約し、ようやく読めました。一木 けい、初読です。青春恋愛連作短編集、オススメは、第15回女による女のためのR-18文学賞読者賞受賞作『西国疾走少女』です。次回作も期待しています。
2018/05/01
風眠
会う前からもう、別れる時のことを考えてしまう。何着て行こう?髪、変じゃないかな?何話そう?もうすぐ会える!って心が華やぐのに、でも今から何時間後にはそれぞれの家に帰っているんだな、とか、別々に眠るんだな、とか、そんなことを考えてしまう。複雑で、面倒くさくて、この何となく寂しい感じを何と呼べばいいのだろう。ただ幸せなだけじゃない、どちらかと言えば不幸かもしれない。なのに何故、私はあの人じゃないとだめなんだろう。いつか私にも、あの人に対して後悔する日が来るだろうか。理屈じゃなく求めてしまう、恋心というものを。
2018/05/22
うっちー
今後が楽しみな作家さんです
2018/05/14
ろくせい@やまもとかねよし
女子中学生の恋愛を軸とした5つの物語。男と女や大人と子どもの対比のなか、女性の性や人間関係をもちい物語は展開。本書全体の意識は掴みかねる緩い雰囲気だと感じながらも、しっかり心に残った。しかし残ったそれをうまく説明できない。主題は自己の利己と利他の調和だろうか。自己の利己は他者を外に追いやる。一方、他者からの利他的おもいやりは、荒んだ自己をも支え、支えられた自己は利他的思いやりを発する。。捉えきれていない印象。しかし、これは確信。本書意識を過不足なく表すのは「1ミリの後悔もない、はずがない」。表題に感服。
2019/07/27
utinopoti27
人生はある意味選択の連続だ。様々な岐路における判断の積み重ねの上に今の自分がある。その多くは正解も不正解もない。ただ、違う自分を生きられたかもしれないという後悔は、拭いきれない澱となって心に溜まり続ける・・。由井と桐原、二人の恋愛と、そこに絡む者たちの人間模様を綴る本作。時の流れの一瞬々を、慈しむように掬い上げる構成の妙は、それぞれの関係性に潜む足場の危うさや、鮮烈な驚きを見事に浮き彫りにする。とりわけ、痛みとその奥にある仄かな希望を、甘美な余韻に変えて収束するラストの手際は鳥肌モノ。驚異の新人が現れた。
2019/05/17
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