果ての海
果ての海 / 感想・レビュー
starbro
花房 観音は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本作は、桜木 紫乃っぽい官能ミステリでした。 福井県には行ったことがありますが、東尋坊は訪れていないので、何時か行ってみたい。 https://www.shinchosha.co.jp/book/351822/ 【読メエロ部】
2021/11/23
モルク
愛人を階段から突き落としその死体を放置したまま逃亡した圭子。整形し名を変え芦原温泉にたどり着く。仲居の沙世としてひっそりと暮らすつもりもその美貌故にコンパニオンになるが、男から注目を浴び誘われることも多い。ストリッパーのレイラ、コンパニオン仲間のアカリの存在が救いを与えたくれるが…気がかりは残してきた娘灯里のこと。殺人の動機が弱いと思ったらそこには知られてはならぬ秘密があった。やはり圭子は一人の母親だったのね。あの福田和子がちらついた。そしてほぼ一気読み。
2024/04/26
じいじ
読み始めてまもなく、いつもの花房小説と「趣」がちょいと違うなと感じた。官能的な表現を極力抑えて、ミステリー色が強調されている。46歳バツイチの女が、愛人殺害の汚名を背負い、整形までして〈逃亡〉の長い旅に出ます。そして舞台は東京から福井へ…。もし、逃げ切れななかったら、その時は「死」を心に決めて…。随所で女の逞しさをとことん味わいました。このミステリアスな話の展開は、桜木紫乃の小説を彷彿させます。花房作品34作目ですが、これは花房観音の心機一転のイメチェンなんだろうか?
2021/12/14
fwhd8325
花房さんなので、もう少しハードな場面もあるのかなと思いましたが、全体におとなしい印象でした。あの福田和子事件をモチーフにしているのでしょうが、登場する女性それぞれにドラマを感じました。最終章で、それまでの流れを変えてしまったように感じますが、物語の流れから必然なのでしょう。表紙からイメージされる世界観のようでもあり、女性たちの鬱屈した人生ドラマであるように思います。
2022/06/07
sayuri
昭和の2時間サスペンスを観終わった様な読後。埼玉県内の事務所で会社を経営する男性の遺体が発見される。その場から姿を消した女は以前出会い系サイトで知り合った「鈴木太郎」と名乗る男を頼り、整形し名前を変え、東尋坊に近い日本海沿岸の温泉地へ逃避行する。温泉旅館の住込み従業員として働きながら別人としての人生を生きるはずだった彼女の運命は…。行間から冬の日本海の曇天や雪景色、荒れ狂う東尋坊の波の情景までが浮かんで来て、この女性の惰性的な生き様が絶妙にリンクする。特別な仕掛けなどはないがノスタルジックな味わいの一冊。
2021/10/26
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