大名絵師写楽
大名絵師写楽 / 感想・レビュー
ナイスネイチャ
図書館本。写楽の謎を新しい切り口での物語。版元の蔦屋重三郎の目線で写楽を描き、どう収束していくか楽しみながら読みました。蔦屋目線なので商売人根性が垣間見えて面白かったです。
2019/01/24
真理そら
残されている写楽の作品の出来栄えや落款のばらつきに注目して東洲斎写楽は誰なのかを判断した楽しい作品。蔦重の立場であれこれと企画していく場面の描写等が興味深くてじっくり読んだ。
2020/01/28
kawa
江戸中期10か月という短期間の活躍のあと、忽然と消息を絶った謎の絵師・写楽を題材とする物語。写楽の正体は、阿波徳島藩のお抱え能役者・斎藤十郎兵衛とするのが有力説。著者はその説を下敷きにしつつ、寛政の改革での幕府の華奢禁止・節約令に反発する版元出版・蔦屋重三郎や某大名らによる企てであるという独自説を展開する。当時の世相や浮世絵・歌舞伎世界の興味深い様子とミステリー・タッチな作風、登場人物も各々良い味が出ている。1粒で何粒も楽しめるグリコのキャラメル(毎度、古い喩えですが‥)のような充実物語を堪能できる。
2019/05/15
Nao Funasoko
田辺昌子氏の「東洲斎写楽講演会」を拝聴したのがきっかけでしばらく忘れていた写楽熱が再発。講演会の帰り道に昨秋刊行された本書を手に取った。写楽が誰だったかについては10数年ほど前に私が住む市内にある寺院にて斉藤十郎兵衛の過去帳が発見されたことにより斉藤十郎兵衛が実在したことが判りほぼ解決したような感もある。が、謎はまだまだ多い。「わからない」から面白い。本書はその斉藤十郎兵衛とは何者だったのかを基に説を構築し写楽の謎に迫る。ミステリアスな写楽故にこれからも本書のような新たな写楽が登場することであろう。
2019/01/26
onasu
蔦屋重三郎と付き合いのあった朋誠堂喜三二から秋田蘭画、阿波国へと繋げ、また写楽絵が尻つぼみとなり、正体不明のまま消滅した辺りも上手いのひと言。ただ、ちょっとすっきりし過ぎのきらいはあるかな。 プロローグの振りからすると、最初は話しがもっさりで読む手も滞りがちだったが、蔦重が江戸の街を動き廻るようになると話しも佳境で、自分も一緒に歩いているようで楽しくなる。しかし、いい時は続かず、やがては幕引きに。 ただ、その間に十返舎一九のデビューがあり、この辺は先頃読んだものとかぶっていて、大いに楽しめました。
2019/01/07
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