同潤会代官山アパートメント
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同潤会代官山アパートメント / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
さすがあの名作シリーズ『ビブリア古書堂』の三上さんです。本作はボリュームは控えめながら、1927年から1997年までの70年間の壮大なドラマを四世代に渡る家族を通して描いています。正直、読んでいて関係性が一瞬わからなくなりましたが、なんとか持ちこたえました。三上さんらしく、家族の繋がり、絆を書かせたらやっぱりとてもステキな作風に仕上げてくれています。ちょっと変わりモノかな?と思える人物が、意外といい人だったりと、読んでいて魅力的なキャラがしっかりと確立していて、自分が大切にしたいモノを改めて考えました。
2019/06/09
のり
読後の感想は?と聞かれたら良かったとしか言えない。代官山にある同潤会アパートに纏わる4世代に渡る生きた証。事の始まりは関東大震災で最愛の妹を亡くした「八重」とその婚約者であった「竹井」が数年後に結ばれ、家族の歴史の原点となる。娘夫婦・孫・ひ孫の時代に渡って一家の象徴でもあったアパート。過ごした時間が濃密に伝わってくる。晩年の竹井が一時帰宅した時の「ただいま、八重さん」、「お帰りなさい」が全てを包み込む。オススメです。
2019/12/13
hiro
両親を亡くして二人きりの姉妹だった八重と愛子。その愛子が関東大震災で亡くなり、愛子の婚約者・竹井と結婚した八重は、同潤会代官山アパートに住みはじめ、それから始まる昭和から平成にかけて同潤会アパートで暮らす親子四代の物語。最初はモダンな同潤会アパートと八重とは対照的に感じていたが、戦災にも火災にも耐え、時代を経て古くなっても住人を守る同潤会アパートと、年を重ねても、子供、孫、ひ孫を守っていく八重の強さは、同じように思えてきた。華やかな物語ではなかったが、竹井と八重が築いた家族の温かさを感じて読み終えた。
2019/05/31
Yunemo
淡々と綴られる著者の文体に最後まで惹かれて。70年間、4世代、その時代を生き抜いた術が静かな形で語られてます。同潤会代官山アパート、昭和と共に生きた建築物、いろんな話題を提供してくれた建物、代官山という地域を代表し、流行の最先端を走った優れもの。この一室から始まった一家の歳月を通して描かれる4代にわたる家族、その中でも八重の生き方が、子供達、孫達が、それぞれの伴侶を迎え世代を超えて受け継がれていく様、絆なんでしょうね。久々に、静かなまま沁みわたってくる作品、家族って何なの、という問いへの答えとしての作品。
2019/06/16
モルク
関東大震災で妹を失った八重が妹の婚約者だった竹井と同潤会代官山アパートに所帯を持つ。八重を中心に70年に渡る4世代の家族の物語。地震に強くモダンなコンクリート造りに家族の時間が刻まれる。若かりし頃古くとも趣のある表参道の同潤会アパートに憧れた日も久しい。各地にあった同潤会アパートも上野を最後に取り壊された。そこにかつて何があったか見る影もない。この本を読むと、当時の少し使い勝手の悪い間取り、そこにすんでいた人々の息づかいまで感じてしまう。こういう作品、好きだなぁ。
2019/12/04
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