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八本目の槍

八本目の槍

八本目の槍

作家
今村翔吾
出版社
新潮社
発売日
2019-07-18
ISBN
9784103527114
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八本目の槍 / 感想・レビュー

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鉄之助

秀吉の天下取りのエポック「賤ヶ岳の戦い」。この戦で功名を挙げた七人=七本槍は有名だが、八本目は?…石田三成! 小姓組から労苦を共にした七人の視点から見た「新しい」三成像が、浮かび上がった。百年先を見据えた三成の布石は、リアルで面白かった。が、千年後は「民の国」となり、 入札(選挙)で棟梁が決まる、なんてのは”行き過ぎ”感アリアリでがっかり。「七本槍」の、その後は、出世競争で差がついたり、不遇な扱いを受けたり、家康側に寝返ったり…。その差は何か?「常に”学ぶ”ことをやめなかったか、やめてしまったか」だという

2022/08/09

海猫

「賤ヶ岳の七本槍」の面々を描いた7編からなる連作短編集。七本槍たちの人生にスポットを当てた各編読ませる。それぞれに石田三成こと佐吉が登場。一冊読み切ると切片が組み合わさるように、三成こそが実は八本目の槍だったことが、見えてくる構成で素晴らしい。七本槍らの考え方が戦国人なだけに、三成の人物像や彼が見ていた夢が、現代的で先を見据えていたことが際立つ。今村作品、文庫のシリーズは軽快でスピーディーに読めるが、これは重みある手応えの作品で読むのに時間が掛かった。そのぶん感銘が深く、単行本を読む醍醐味を感じた。

2019/08/30

しんごろ

袂を分かち疎遠になろうが、たとえ敵になろうが、賤ヶ岳の七本槍と佐吉(石田三成)の小姓時代の絆は深い。歴史物語でもあり友情物語でもあった。時代が違えば、この8人の絆もっと深く、楽しい青春と人生を謳歌できたかもしれないな。佐吉、不器用すぎるよ。もっと器用に立ち回れば、あんたが天下を担ってたよ。そして歴史が変わったかもね。ラストの市松のセリフがかっこいい。全てはこの一言のための伏線だったのかもしれない。何でもいいあえる仲間に自分も出会ってみたいと思わせる面白さだった。

2020/03/20

旅するランナー

戦国時代ファンによる人気投票では、おそらくワースト3くらいには入ってくる石田三成。まず、そんな三成への見方が180度変わります。これほど深い思考と先の展望と広い視野を持っていたのには驚かされます。次に、賤ヶ岳七本槍の七人のそれぞれ個性的なキャラと三成との関係性の面白さ。そして、時代小説に現代性とミステリーと感動を織り込む、今村翔吾の筆力。この小説の凄い点は、この三つなり。いや~本当に素晴らしい! 今村さん、ヤリますねぇ。

2020/10/21

しんたろー

700冊目はマイブームの今村さん…本作は史実を基にしたフィクションだが、至る所に「今村節」が効いた熱き男たちのドラマ…石田三成を軸にして「同期の桜」とも言える七人の侍たちの生涯を連作で描き、三成自身をも掘り下げる構成が秀逸。『ぼろ鳶組』のような派手なアクションやサスペンスこそないが、ゆっくりと噛み締めたくなる滋味あふれる心情が見事だし、興味を惹く謎もあるのがニクイ!歴史もの特有の美化はあるが、それが魅力になのだから素直に称賛したい。「人の繋がり」が胸に響く青春群像劇の傑作!こういう作品に賞を獲って欲しい!

2019/12/10

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