ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編
ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編 / 感想・レビュー
キク
井戸、地下の異界、壁抜け、導き手としての少女。村上春樹はそれらのマテリアルを繰り返し語ってきた。「私は彼に訊かれるままにその枝を辿り、そこにある話を物語った。そのようにして物語はどんどん大きく膨らんでいった。それはね、私たち二人だけの手で作りあげた神話体系のようなものだった。私はそれに相応しい言葉をぴたりとみつけることができた。そこには限りというものがなかった。細部はどこまでも続き、物語はどんどん深くなり、広がっていった」シナモンとナツメグと同じように、村上春樹も神話を作り上げようとしているのかもしれない
2023/10/01
おかむら
連休に超分厚い3部作一気に再読。はあー! 堪能したよ村上春樹を。以前読んだ時はたぶん育児真っ最中でせわしなかったので、なんか長いし暗いしーくらいの記憶しかないのですが、最近「ノモンハンの夏」を読んで、そういや春樹の小説でノモンハンのやつあったなーと思い出して読んでみた次第。いやあ今回読んだらスッゲー面白いじゃないの! とっても長いけども読みやすい。しかも続きが気になってグイグイ読めた。この時期春樹は脂が乗りきってたんでしょうか。他のも再読したくなってきた!
2016/09/20
NAO
「綿谷ノボル側」と「そうではない側」。“あちら側”と“こちら側”の二つの世界を行き来しながら、主人公はねじの在り処を探す。「そうではない側」の主人公を綿谷ノボルは蔑み、愚弄し、脅すけれど、染まらない者をどうすることもできない。つまりは、深く考えることによって染まらないという明確な意志を持ち、それを他の人々へ共感させていくということが「ねじを巻く」ということなのだろう。この作品は、他の村上作品とは違って、明るい終わり方なのがうれしい。加納クレタのように、クミコも回復したらいいのにと心から思う。
2015/10/13
田中
おそらく3度目の再読。綿谷ノボル=舛添要一に思えたのは私だけだろうか。権力にスポイルされ闇に葬られた犠牲者の追悼。しかし岡田亨は悪を退治するヒーローに最後はなった?
2018/10/23
dolce vita
この終焉、ポカッと穴が開けられたみたいななんとも言えない感じ。あっちとこっち、羊が魅せた羊的世界みたいなものが暗示するのは何だろう。自分であって自分ではない、無意識というものでもない別人格のような自分とパラレルワールドのような世界、この独特な不思議世界の魅力に堕ちて抜け出せないまま…。なんかずっと気になる。これが村上春樹のおそろしさ。
2020/07/06
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