辺境・近境
辺境・近境 / 感想・レビュー
ケイ
作家の暮らすセレブな街イーストハンプトン、山口県のからす島、メキシコ旅行、讃岐うどん紀行。1990年代前半のこれらの旅は、取材だったり、知人のつてであったり、概して貧乏旅行。沢木さんと書き方は違うが。むしろこの方が滑稽だったりする。その後の「ノモンハンの墓場」。ねじまき島を書いた後だ。延々と続く旅の様子が退屈になってきた頃、いきなり作者のつらい体験をまざまざと見せられる。最後は、震災から2年後の西宮~神戸の寂寞感ともに感じられるノスタルジー。彼の感受性の強さがとてもよく現れていると思った。
2015/04/30
tom
村上さんの文体はいつも同じ。文体が同じだから、いつも既視感がある。若いときから、少しも変わらない。この雰囲気が好きな人は好きだろう。でも、文体は内容を規定する。文体を変えたら内容が変わる。村上さん、ずいぶんな年になってしまってるけど、ここらで文体を変えたらどうだろう。ここで私は考えた。村上さんに真似てほしい文体は何かと。井伏鱒二や正岡子規は面白いかも。漱石は無理だな。プルーストはどうだろう。いっそ中島敦が面白いかも。今までと違う村上さんを見たい。でも、村上さんは、頑固な人だから、絶対にしないだろうなあ。
2021/04/23
あび
村上さんの旅行記は読みやすいし面白い。小説より好きかもしれない。
2019/09/30
RYOyan
危険が伴った海外旅でも、ご近所散歩みたいな国内旅でも、自分らしさが出てしまう旅紀行の魔法。旅の楽しみはやっぱり個人の視点で生み出されるものなんだ。
2015/03/14
Mabel
村上さんの旅エッセイ。タフな旅から、讃岐うどんツアーまでさまざま。ノモンハンの章は『ねじまき鳥クロニクル』を読んだ人ならぐっとくるはず。
2016/05/15
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