ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29
ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29 / 感想・レビュー
starbro
村上 春樹が序文を書き、ハーバード大学名誉教授ジェイ・ルービンが選んだ村上 春樹を含んだ日本の著名な作家の短編集ということで読みました。どの短編も興味深いですが、オススメは、三島 由紀夫の『憂国』&青来 有一の『虫』&村上 春樹の『UFOが釧路に降りる』の三本です。
2019/04/09
KAZOO
ペンギン・ブックスがこのようなアンソロジーをつくっているとは知りませんでした。日本文学も世界でメジャーになったのでしょうか?29の短編とはいうものの村上春樹さんの序文を含めてのものでしょう。それを入れて村上さんの作品は3つ収められています。村上さんのノーベル文学賞応援団のような感じです。7つの範疇に分けてそれぞれの作家の作品が収められているのですが、私が読んだのは7つくらいでした。とくに名も知らない作家(澤西裕典、青来有一、、松田青子、佐藤友哉)の作品があったりで自分が最近純文学を読んでないと思いました。
2019/09/18
藤月はな(灯れ松明の火)
ペンギン・ブックスではどういう風に訳されたのか、気になるものばかり。「監獄署の裏」は故郷だが水が合わぬ田舎暮らし、思いを散らすも募る鬱屈、親の老い、自分が何も成し遂げていない事への焦燥が書簡からヒシヒシと伝わって来る。「興津弥五右衛門の遺書」はこれ、本当にどう翻訳したのかな?「憂国」は既読。こんなエロティシズム溢れる切腹はこの作品だけだろう。「焔」は母娘の病気時の遣り取りが微笑ましいがラストの死の匂いに総毛立つ。また、夫との離婚するまでのやり取りや女性ならではの「無理なものはもう、無理」のリアリティは圧巻
2019/04/26
らぱん
誰かの本棚からごそっと本を借りたような近代から現代までの28人30編で、個人編纂とは言えユニークなセレクトだと思う。多くの未知の作家や作品に出会えた上に、既知の作品でもテーマの中で他の作者の作品と併せて読むことで新たな視点をもらえる面白いアンソロジーだった。インパクトが強かったのは、三島由紀夫「憂国」と澤西裕典「砂糖で満ちてゆく」、不気味な読後感を残したのは河野多恵子「箱の中」大場みな子「山姥の微笑」、好みの作品は中上健次「残りの花」内田百閒「件」村上春樹「UFOが釧路に降りる」あたりになるか。↓
2019/09/10
seacalf
えらく時間がかかったが、なんとか読み終えた。奇妙なこと、この上ない短編集。なんでまたジェイ・ルービンはこんなセレクトにしたんだろうか。あくのつよい話ばかりなので愉悦に浸るよりも鍛練に近い読書だった。好みではないが『憂国』『物理の館物語』『日和山』などしびれる短編もちらほら。なかでも青来有一の「虫」が郡を抜いて素晴らしかった。村上春樹の序文は意外にも優秀な導き手になっているが、収録作品は相変わらずの春樹節でため息が出る。柴田さん以外の作品は未読で、こんな機会でないと読まない作風ばかりだったので良しとするか。
2019/09/15
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