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街とその不確かな壁

街とその不確かな壁

街とその不確かな壁

作家
村上春樹
出版社
新潮社
発売日
2023-04-13
ISBN
9784103534372
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街とその不確かな壁 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

村上春樹の集大成かとも思える作品。この小説の原型は、はるか1980年にまで遡る。「文學界」に掲載された中編小説がそれである。その躊躇いと再構築がようやくにして実を結んだのがこの作品。不確かなのは街を取り囲む壁だけではない。自己の存在もまた、そして私たちがこちら側の世界と信じている世界そのものもまた不確かなのである。650ページにおよぶ長編だが、この作品を読んでいる間、私たちもまた虚構の遠い世界の果てをさ迷う。そして、物語の最後に迎える終末において、私たちは圧倒的なまでの寂寥感をともにすることになる。

2023/10/08

ミカママ

壁のあちら側とこちら側、十六歳のままのきみと四十を過ぎたぼく、初恋と現在の静かな恋、ぼく自身とぼくの影…さまざまな対比と暗喩を軸に独特のパラレルワールドが、我々を翻弄する。「今自分はどこにいるんだろう」という気持ちにさせられて。明らかにダイナミズムの違う3つの部、個人的には第一部についてずっと読んでいきたかったが、第二部のぼくと子易さん、不思議な少年との静かな絡みも捨てがたい。そしてなによりクライマックスの第三部で、おおぉ、そうきたか、と気持ちをさらわれる。いつものように読者は置いてきぼりにされたまま。

2023/04/20

starbro

私はハルキストでも村上主義者でもありませんが、村上春樹の新作をコンスタントに読んでいます。本書は6年ぶりの長編、初恋パラレルワールド図書館ファンタジーでした。傑作とまでは言いませんが、今年のBEST20候補作です。どうせなら666頁が好かった。 このレビューは、The Beatles YellowSubmarineを聴きながら書きました♪ https://www.youtube.com/watch?v=m2uTFF_3MaA https://www.shinchosha.co.jp/special/hm/

2023/05/23

bunmei

本作は1980年に一度、文芸誌に掲載されたが、著者が納得のいかずに書籍化はされていない。その後『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を執筆。そして40年の時を経て、この2つの作品をベースに、『現実』と『非現実』を行き来する展開と、濃厚で緻密な言葉や文章に彩られた、村上文学の神髄とも言える長編小説として、再び陽の目を浴びた作品。題名の『不確かな壁』とは、現実世界において、居場所を見いだせない者が、安心して身を置ける、外界と隔絶した閉塞的な空間にする為の、心のバリアや内なる葛藤と感じた。

2023/04/30

ミカママ

確認したいことがあり再読。初読の際に「第一部だけ読んでいたかった」と書いたが、そういうことだったか。でもまぁやはり、第三部までで時空の歪みが矯正された、ということなのだろう。第三部に至ってはわたしには難しすぎたし、正直「これ要るん?」だったが【小声で】。そうだそうだ、ブルーベリーマフィンね。初読のときはすぐに作ってむさぼり食べたが、現在体重絶賛上昇中でゆるグルテンフリーしているので、ヨーグルトにブルーベリーで我慢。時空の歪みに置き去りにされぬよう、手綱をしっかり握って読むべき作品。

2024/09/02

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