時代小説五十人集 上
時代小説五十人集 上 / 感想・レビュー
たらちゃん
歴史小説も時代小説もあまり読まないできましたが、読み始めると止まらない。決して幸せな結末ではないし、渋味苦味ばかりが残る話も多いのに。そこがいいのかな。私のお好みはビターなのかも。この本のなかで「幻の軍師」は考えさせられる一篇。わが身を陰のものと思いなす心。己の功名心に気づかされ、たいへん感謝しています。
2020/03/08
山内正
後を継ぐ粂次にお美津の事を言われたと清吉が 十年背負い込んだ業 弥助の娘を貰い親分と言われる様に 小料理屋を始めた 岡っ引きを続け 五年して女房が死んだ 店をどうするか人手が足りねぇ 故郷の漁師町へ孤児の美津をと あの子の母親はね抜ける様に色が白くて今に綺麗になるよと知合いの女 美津のお陰で店は繁盛下拵えや魚の目利きも出来る女に 帰るとやり掛けを放り出し 清吉の面倒を見る 店をと言っても 江戸に来て四年目に見張りの仕事で 胴震いがし寝た時裸の美津が添い寝 したまで 嫁になんか行かないあの人待ってる
2021/09/02
山内正
半年前本勤めの左近 山崎屋手代殺しを岡っ引き千次 土蔵荒しを狙っている 同心藤江を見張れと 栄吉に狙いを証拠はあるのか 確かめようと 人を斬った事は 何故斬ったと問い詰める まあ手柄だがな 私は腰を上げ自身番を出た 何故左近に近づくた千次 手代を殺したのは誰だ 違う人間を斬ったと言ったな 弟がいる斬ろうとするだろうな てめえ等が殺したのかと 誘うように刀を抜いてすれ違い様に斬った 口が開き肩から血が 震えているのか千次
2022/02/22
山内正
五十を機会に身を退こうと思いが 二十三で親分の娘を貰い 地元の評判も上り店の仕事も大きく 女房は店で働いたが過労が祟り 五年して死んだ 何もかも任せてた 暮らしも店も 誰かに手伝わせねば 田舎の母親に頼みに 美津はしっかり者で陰日向なく器用 気働きの出来るいい娘だけど 言い淀むのを江戸に連れてきた 一皮剥けた様に美津は綺麗になった 四年たち美津に縁談話がきた 母親の心配した男と女に成らないと 一番大切なのは清吉と思う美津は 断った 行灯消して窓辺で月をみて 帰りを待つ幸せを知った 一生こうやってどこが悪い
2020/12/20
山内正
振分け荷物に女の片腕がある 弥吉って男に渡すがなんて言うか 思案のまま街道半ばへ 店の老人は弥吉ってのは女好き 店の前を女と男が通り 前の女房おゆうだと教えた 三年前の縁で馬太郎親分へ 家は様変わりし姐さんも居ない 一年前に弥吉って男と留守に寝てやがり斬ったよ 片腕を箱から出した 向こうから男女連れが来る 弥吉さんかぇこれを渡しにと片腕を 男は拝み打ちに斬り掛かる 長ドスを持った片腕が道に転がった 弥吉は這いずり回ってる おしまの片腕を箱に入れ今度来る迄馬太郎は生きてるやらと立去る
2020/11/02
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