恋紅
恋紅 / 感想・レビュー
いつでも母さん
桜の下に埋まっているのはきつだけじゃない、数多の遊女の怨念や情念も埋まってるそして桜は咲くのだ。遊女屋『笹屋』」の娘・ゆうの人生。遊女を縛る稼業の上に成り立つ親も我が身も捨て旅芸人と共に生きるのだが、惚れると言うのは自分の居場所を見つける事。人を想うことはこんなに切ないのだと思わせてくれる。そこに男も女も身分さえ関係ないのは今も同じか。時は捨てたはずの過去さえ懐かしく思える。私なら笹屋から飛び出せるだろうか。そんな男と出会えるだろうか。分かったようで分からないから男女の仲は続くのか・・桜の花はそんな色。
2019/01/03
shizuka
置屋育ちの「ゆう」が大人の女性になり、自らの生きる道を決めるまで。禿、遊女を見て育ち、母親が手を下したあるむごい出来事や自分には甘い父親が女たちをどう思っているか、トラウマになるような事象の中でそだったゆう。いつしか置屋の外の世界に憧れ、添え遂げられなくても愛していきたいという男と出会う。誰にも言わない、相談しない、ゆうは自分と自分の気持ちだけ信じている。紆余曲折あり、年を重ねていくゆう。でも最初に心に決めた男を想い、信念を曲げないさまは立派。彼女の生き方すべてに共感はできないが、強い女性は嫌いじゃない。
2017/09/28
えも
皆川さんの直木賞(61年度上半期)受賞作は、ミステリーでも耽美でもなく、芝居と遊廓が舞台の、女性が強く生きていく人情もの?でした。遊女の悲惨さを描くのに、当時誕生したばかりのソメイヨシノが効果的な小道具となっていますよ。
2015/09/11
ケイプ
以前読んだ宇江佐さんのエッセイの中でこの本に触れていたので読んでみました。 遊女屋の一人娘ゆうの半生を描いた作品。華やかに見える郭の裏も表も見て育ったゆうにはその家業の上で成り立っている自分の生活の裏には、苦しむ遊女たちの姿があるという葛藤が消えないでいた。そんな時に見つけた自分の居場所、ゆうの恋。ゆうの気持ちに寄り添いながら読んでました。きつのもとで咲いた染井吉野の桜が切ないです。続編もあるようなので読んでみたい。
2015/01/27
JUN
幕末における遊女屋の娘「ゆう」を主人公にした、彼女の半生の物語。あまり自分好みの作品ではないかな?
2017/01/29
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