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半島記・群島記

半島記・群島記

半島記・群島記

作家
小林恭二
出版社
新潮社
発売日
1988-09-01
ISBN
9784103704010
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半島記・群島記 / 感想・レビュー

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眠る山猫屋

本土最北端の斧の形をした半島で忌まわしい事故が起こり、その土地は隔離された・・・。八十年代に標された予言の書のような出だしの『半島記』。半島から帰還したトンビが南の果ての島々で楽園を造り出そうとする『群島記』。宇田川心中とゼウスガーデンを繋ぐ過渡期的な作品か。特にゼウスガーデン関連は、まさに作者の真骨頂。虚史としか言い様のないダイナミズム。 それでも最後の二ページ、マフィアの若きリーダーとトンビの真夏の旅のシーンは、近代希に見る美しいエンディングなのではないだろうか。まさに文学でしか、描かれ得ない光景。

2015/05/20

猫丸

1988年発行。当時は何かしら新しさを感じさせるところがあって、こうして単行本を購入したのであったはずだ。しかし今この作品が発表されたとしたら、たぶん黙殺されるんじゃないか。あまりに茫漠としており、イメージの広がりも弱い。著者としても無かったことにしたい過去かもしれぬ。実際、文庫化されていないようだ。加えて日本語のおかしいところが複数ある。急に売れっ子になって時間に追われたのだろうか。どうもバブル期にデビューした作家のその後が良くない傾向がある気がする。

2022/02/15

hirayama46

あ、これ『ゼウスガーデン衰亡史』の外伝的な作品だったんですね……。それなりに前に読んだので内容を忘れてしまっておりました。要再読。本書はそれぞれ独特な文化が醸成された地域を描いたファンタジー・幻想よりの作品で、ちょっとした描写や噛み合ってないように見える会話で強力に物語に引き込む、小林恭二の魔術的筆致が存分に発揮された作品で大変に面白かったです。宗教組織を通した社会風刺な側面が強い「群島記」よりもファンタジー的な雰囲気が強い「半島記」のほうが好みかな。

2021/09/02

まちゅう

四半世紀振りくらいに小林恭二を読む。『ゼウスガーデン衰亡史』にはまり当時好きな作家さんの3本の指に入るくらい。群島記はそのゼウスガーデンの話も絡めており、まさに小林恭二という作品。ただ若かった頃感じた程の面白味は感じなく、年齢による好みは変わるものですね。けれど余裕が出来たらまたゼウスガーデンを再読したい。何しろ大好きすぎて友人に布教しまくり最終的に単行本は私の手元に戻らず後に文庫本を買い直したのはこの本くらいですから。

2019/03/10

Y.C.STUPID

P34「それから海水。/(中略)/波音。/ドップラー効果。」言わずもがなのものや拾わなくてよさそうな部分をときにざっくりと拾い上げることで、妙に可笑しい間がうまれ、他のフィクションではあまり見かけない光景があらわれる。光景といえば、下にも挙げられているとおり、ラスト2ページはの描写は語るべきものが選びぬかれていて、まことにじんわりとくる。P76~83、タコの卵をつまみに語らう~公民館なども、短い且つよいシーンで、こういうものを読んでいる時おれは小説というのは面白いなあと思う。

2018/03/28

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