負けんとき 下: ヴォーリズ満喜子の種まく日々
負けんとき 下: ヴォーリズ満喜子の種まく日々 / 感想・レビュー
ゆみねこ
メンソレータムとあの可愛いナースのロゴで有名な近江兄弟社、無知な私は兄弟で経営されているのかしら?くらいの感覚でした。アメリカ人でありながら、日本を近江八幡を愛したメリル・ヴォーリズと妻満喜子の生涯、とても興味深く読了しました。玉岡さんの描かれる一代記ものは読みごたえがあり、大好きです。これも、もっと多くの人に読んでもらえたら良い本だと思います。
2014/09/10
Aya Murakami
屋根をかける人の主人公ヴォーリズががっつり描かれるらしいということで図書館で手に取る。 なるほど…、建築家としてだけでなく音楽家としての顔もあったのですね。 ヴォーリズ満喜子…。慣れない八幡の地で苦労して幼稚園をやりくりしていたのですね。不適切保育や保育士の待遇など今も昔も子どもを取り巻く環境は変わってないのかも?
2023/02/19
里季
下巻では近江ミッションの使命を果たすべく苦労を重ねたヴォーリズ夫妻の足跡を中心に描く。滋賀県民の私には近江兄弟社は大変身近で親しみのあるものなので、その歴史や関係者のプロフィールなどを調べながらの読み進めた。全体を通して個人的にはキリスト教精神と日本古来の神道の共通点や相違点、戦争期における天皇崇拝、その時期の財閥の活躍などに興味があったので、著者のドラマチックな書き方が得てして邪魔になることがあった。ズバリ言えば、祐之進との純愛はバッサリと割愛してもいいくらい。が、これはあくまで個人の好みである。
2014/09/05
天の川
建築家としてのヴォーリズしか知らなかったが、実に多才で魅力的で、暖かい人だったのだな…と感服した。そんな彼だからこそ、満喜子は自己を解放することができたのだろう。ただ、題名が満喜子ではなく廣岡浅子の言葉であったからか、どうしても浅子への興味の方が強くなってしまった。「勝たんでもええから、負けんとき」という言葉は素晴らしいと思う。そして、メレルとの穏やかな愛より、佑之進との実らなかった愛に目を奪われてしまう…。もっと、メレルと満喜子の夫婦の歩みに重点が置かれても良かったかもしれない。
2014/10/01
星落秋風五丈原
彼等の功績を知らないということは、また、彼等が受けた苦しみを知らないということでもある。もともと建築家としての利益も全て伝道や教育に捧げていた彼等はさほどの財産も持っていなかったが、太平洋戦争の時、打ち込んでいた仕事も居場所も奪われる。どれほど地元の人と親しんでいても、どれほど地域に貢献していても、敵国人とその妻である事実が彼等を周囲から隔ててしまう。戦争の行方もわからず、それでもただひたすらに、自分の信じる道を歩むということがどれほど大変だったか、想像に難くない。
2013/05/13
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