パーフェクト・ブルー 新装版 (Miyuki Miyabe Early Collection)
パーフェクト・ブルー 新装版 (Miyuki Miyabe Early Collection) / 感想・レビュー
星群
俺の名前はマサ、元警察犬。今は、蓮見探偵事務所の加代ちゃん一家の元にいる。オレは、警察ってとこに居たから、よく人間の残酷な部分を見てきたよ。けど、今回は特に酷いものだった。純粋に野球に夢をみる少年達を喰い物にする、パーフェクト・ブルー。どうか、こんな哀しい事が二度と起きないようにと願って、夏の蒼い空に向かって吠える。
2012/10/14
Junna.S
高校野球界のエースが、凄惨な殺人事件の被害者となった。犯人と思しき元チームメイトは自殺し、事件は幕を閉じたように見えたのだが―。宮部さん、単行本デビュー作。スピンオフである「心とろかすような」からこちらへ。「パーフェクト・ブルー」という綺麗な名前からは程遠いその内容と、事件の裏の醜すぎる人間模様に気分が重くなり、読後感はイマイチだった。犬目線の視点は斬新(当時としては、かなり)だし、内容も複雑に練りに練られている感じはあるが、初期の作品ならではのザラツキが感じられた。これは間違いなくスピンオフ作品に軍配。
2015/08/06
みゆき・K
語り手は、今は探偵事務所に勤務する元警察犬のマサ。珍しい設定だが違和感なく読めた。赤電話が出てくる随分前の作品なのに、日本人の同調圧力や連帯責任は、今も全然なくならないんだな。まるで軍隊みたい。「人間というのは、永遠に一本立ちしない生き物」というマサの言葉に頷く。ストーリーは面白い。さすが宮部さん。ミステリーの中に高校野球、ドーピング、企業のモラル等の社会問題を絡めるあたりが上手い。この問題も相変わらず昔と変わってない。ただ、克彦の死因とどんでん返しには無理があると思う。親がそこまでやるかなぁ。
2022/05/06
ひかる
人気の高校球児が焼き殺されるという衝撃的な事件が起こる。元警察犬のマサが飼い主である探偵事務所の女の子と事件の謎を追っていく。犬目線ということが興味深く手に取ったが、犬であることをもっと活かした展開や推理がもう少し欲しかった。マサが犬とは思えない。全体的にドタバタとしていて緊張感もなく、かなりエンタメだなあといった印象。展開が早くテンポはいいので爽快ではある。難しいことは考えずに楽しめる。宮部さんの長編デビュー作らしく、ここから数々の名作を生み出すようになったんだと思うとすごい成長です。
2018/12/10
凡人太郎
語り手に犬を選んでいますが,その意味が掴めません。 宮部作品の傑作「火車」にある期待と緊張感を求めましたが,平凡でした。 また,語感が粗く感じられたのは,宮部さんの最初の頃の作品だからでしょうか。
2013/03/20
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