ソロモンの偽証 第III部 法廷
ソロモンの偽証 第III部 法廷 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
2200ページ超に及ぶ大作を読了。これだけの分量を要した値打ちは確かにある。ただ、登場人物たち個々のということではなく、全体を統括する意味においては中学生の能力を超えているだろうし、その意味でのリアリティには乏しい。また、設定の都合もあって、物語の時間が1990年代に置かれたことも、やや残念ではある。もっとも、そうした仮構を受け入れれば、本書の物語の展開は極めてスリリングであり、また十分に感動的でもある。しかも、問題の本質は今日的でありながらも普遍性をも持っている。なお、エピローグはなくてもよいだろう。
2013/09/29
遥かなる想い
完結編。大人が成り行きを 見守る中、中学三年生主催の 学校法廷と真実への追究が 始まる。ある種異様なこの 光景を子供たちの手際よい 裁きが逆に読者を虜にする。 設定が新鮮で面白いが、 途中からこの法廷自体、 読者をミスリードさせている ような気がしてならなかった ・・なぜ大人たちは黙って見て いるのか。この裁判の意味は どこにあるのか。そして最後の 証人・・ 「あなたなら、この裁判でどう判決を 下しますか」著者の問いが読者に 投げかけられている、そんな気がする 終わり方だった。
2013/09/23
どんちん
うーーーむ。なんとも言えない読後感。あまりにベタな設定の神原和彦。まさか本当にこうなるとは思っていなかった。どう考えても、このⅢ部でドンデン返しがあると思っていたが、途中からまさにホワイダニイットという感じで、正直あまりに普通的な展開であり少々残念だった。タイトル「法廷」に関するところは、中学生?!という突っ込みは無視して、非常に読み応えがあった。また、その目的である真実を明らかにするという点についてもきっちり達成できたのではないだろうか。確かに皆のその後は気になるが、ラストはちょっといらなかったかな。
2014/07/07
文庫フリーク@灯れ松明の火
「この難しい裁判を企画し、実現させた。その勇気と創意と努力に深く敬意を表します」神原弁護人の言葉をそのまま宮部みゆきさんに捧げます。一人の中学生の死から始まる〔真実に自分達で辿り着こう〕とした中学生達の学校内裁判。それぞれの役割を担った生徒達。特に法廷内での中学生とは思えぬ検事側・弁護側の応酬は緊迫感だけでなく笑いも誘い、読む手を止めさせない。この緩急の付け方は名人の為せる技。予想を越える結末ではなかったが、この2000ページ超える『ソロモンの為証』有る限り、中学生による学校内裁判という難題に挑む→続く
2012/10/22
emico
スーパー中学生のスーパー中学生による裁判、いよいよ開廷。ただスーパー中学生と言ってしまうのは身も蓋もない事で。スーパー中学生だとか、こんな中学生存在しないとか、そんな所はどうでもよくて…課外授業と銘打った学校内裁判は、弁護人も検事も、被告人も、陪審員も、証人も、モチロン判事だって、一所懸命に考えて、考えて、どうしようもない位考え抜いて、判決を下したんだと、最後まで読んで思いました。どうなるのだろうと、不安の種だった神原くんや、三宅さん。でも、読み終わる時には、ストンと私の心にも落ち着いて(コメントに続く)
2014/07/14
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