カフカの書き方
カフカの書き方 / 感想・レビュー
抹茶モナカ
カフカの推敲過程から、カフカに迫る本。カフカ像が思っていたのと違って、新鮮。病跡学では統合失調症の疑いを指摘されたりしているけど、自作を笑いながら書いていたのでは、とも考察している。独特な感性の作家カフカを身近に感じられたけれど、この本での考察はピンと来ない部分もありました。自作を笑いながら執筆するタイプには思えなくて、もっと、シリアスに作品が執筆されている気がして。
2016/10/16
Tonex
『カフカ小説全集』(全六巻、白水社)を刊行した後、「新潮」に六回にわたり連載されたもの。『カフカ小説全集』各巻の解説に書ききれなかったことを補足したという感じ。▼あとがきにわざわざ《研究者用ではない》と断りを入れているが、一般読者向けだとしても、嘘を書いていいわけではない。カフカ本をいろいろ読んできて、この著者は事実でないことをさも事実であるかのように書く人だということがわかった。この本に書いてあることも、どの程度正しいか怪しい。
2015/12/17
袖崎いたる
カフカをカフカの読者が追体験するようにして書く。
2019/04/14
踊る猫
池内紀氏の訳業について云々される光景を良く目にする。私はドイツ語は全く出来ないのでそのあたりは専門家の議論に委ねるしかないが、ともかくもここまで平たくカフカの魅力を引き出してくれる方は稀有なのではないかと考えてしまう。池内氏の筆致はユーモラスで、顰め面をしてカフカを読む必要なんてなくて、デタラメな細部がこんがらがったその様を堪能すれば良いんだと(そんなデタラメさが許されるのがカフカなんだと)再認識させてくれる。カフカの手稿に実際に当って、さり気なく精密な翻訳/読解を試みた人物だからこそ書ける一冊ではないか
2015/11/04
つだしょ
出版の責任者だったブロートの恣意的な変更や、作者自身の破棄などにさらされながら生き残ったカフカの作品の魅力を、彼のノートの使い方、文字の書き方などから、書いているまさにそのときのカフカに迫る。今はパソコンだが、手書きだったからこそ、本当の魅力がわかるのかも。消される前の文章、その消しかた、ノートの使われ方(かきさし、句読点がなく一気呵成に書かれる、次第に息切れし、中断…)、ノート大きさの変化と小説の変化……。こういったことを含めてカフカの作品は読まれるべきだという。極めて包括的な観賞が求められる作家。
2012/10/02
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