郊外の文学誌
郊外の文学誌 / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
彼らはどんな幸福を夢見ていたのだろう。漱石、独歩、北杜夫、石井桃子、庄野潤三、村上龍。明治に誕生し、大震災、戦災を経て、移りゆく「郊外」をたどる、新・東京物語。
2004/01/09
YI
「郊外」が誕生するのは、大正から昭和初期にかけて。関東大震災がきっかけとなり、それは東京の西へ、北へ、とどんどん膨張してゆく。「郊外」に暮らすひとのなかには、震災で焼け出されやむなく住みついたひとがいる一方、おもに文人や芸術家たちを中心に、そこにソローやモーパッサン流の「自然」を発見し、すすんで移住する人びとも存在した。そうして、そんな彼らの手によって新たな気っ風をもった作品が「郊外」から発信されていったのだった。文学のほか松竹蒲田から誕生した「小市民映画」など、東京をみる目が変わる一冊。
2015/06/29
almondeyed
世田谷文学館で開催されていた「都市から郊外へ - 1930年代の東京」展のガイドブックみたいな本。「郊外」がテーマなだけに、3月10日よりも5月25日の東京大空襲に重きを置いて解説していたのが印象深い。実はその時の被害の実態をよく知らなかったので。
2012/04/27
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