天馬、翔ける 下
天馬、翔ける 下 / 感想・レビュー
pdango
★★★★☆
2022/04/14
よっちゃん
武士団の統率者としてもまだ不安定な頼朝。旧体制を死守せんと陰謀を巡らす後白河。独立国家を目指す奥州藤原。この三すくみの権力闘争に翻弄される義経。 四者それぞれ、周囲にある女性たちとの色模様も華やかさをそえているが、やはりこの四者対立構図の複雑に変転する展開が読みどころ。 後白河法皇の神通力と「大天狗」といわれる怪人ぶりはすこぶる魅力的である。また奥州藤原一族は日本の先住民族の末喬で、大和朝廷に追われた蝦夷の頭領と設定し、その勢力の全国展開も独特なところが随所に描かれ、物語を楽しくさせている。
2005/03/24
鬼山とんぼ
案外詳しく知る人の少ない頼朝義経の確執に、激烈な政子の嫉妬心、独自の権力基盤を求める後白河上皇の暗躍を絡めた、安部龍太郎中期の傑作。時々ありえないドラマチックなシーンが混じるものの、大枠は史実に即して描かれている。司馬遼太郎の小柄で出っ歯、女狂いの「義経」とは全く別の、風流も理解するスマートで勇敢な若武者として描かれるが、絶対権力を目指す策謀家の頼朝が徹底的に警戒した、上皇にも奥州藤原や平家方からも好意を持たれた人物としてはこの描き方が適切だろう。感銘を受けた人は次作の「浄土の帝」も必読だ。
2018/09/13
藤枝梅安
下巻は静御前の婿となり、祇園・紫雲閣での義経の生活から始まる。 義経と頼朝、二人を操ろうとする後白河院の思惑が次第に明らかになる。 それと時を同じくして、義経は自分が後白河院の落胤ではないかという疑念、 というよりむしろ希望を抱くようになる。 はたしてそれが事実なのか、後白河院の義経懐柔策なのかは、不明である。 史実とフィクションのバランスを取ろうとする作者の意図はわからないではないが、 その分、中途半端になっていることも否めない。 人物の描き方も「食い足りない」という気がする。
2010/01/17
ちかまる
義経が悲劇のヒーローとして人気があるのが納得できた
2017/06/25
感想・レビューをもっと見る