都と京
都と京 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
財力も豊かで、若々しくて元気な東京と、文化と伝統とをたっぷりと持った京都。この構図は、まるでアメリカ人が見るヨーロッパそのものだ。そもそも本書のコンセプトはまさしくそこにあるのだから。「京都大学と東京大学」あたりまでは、ほぼこの力技で語っている。ある意味では最初から勝負はついているのだが、著者の酒井順子さんはそんなことは百も承知の上だ。日常は「都」で、そして遠くにありて想うのが「京」なのだ。ただ、後半からは力技が影を潜め、幾分か思索的に語られて行くようだ。ただし、その分切れ味はやや鈍るのではあるが。
2013/06/19
まーくん
「小説新潮」の連載がベース。京都大好きな著者が、生まれ育った東京と対比、文化の違いを揶揄や皮肉も交え読み解く。酒井さんのエッセイの面白さには常々、感心しているのですが、本書はイマイチ。一話一話は肩も凝らずサラッと読めて良いのですが、ずーと読んでいくとダレてくるのは、こちとらの歳のせい?それはそれとして、自分の京都経験では縁なく新鮮に感じたのは女性の京ことば。「いやぁ、かなわんわぁ」というのは東京言葉にすれば「それはいかがなものですかね」意訳すれば「イヤです」という意味だそう。大原千鶴さんが目に浮かんだ。
2021/04/15
ジョゼ★絵を描くことにハマったプ女子
東京出身である酒井順子さんの強い京都愛を感じた。 かつての都だった京と、今の都である(筆者の出身地でもある)東京とを比べ、酒井さんの視点でその違いが書かれている。 京都に生まれ育ち、今は東京に在住している私にとってとても面白い本だった。 京都の良さも東京の良さも知っている私は、酒井さんと同じ感覚で、けれども反対の立場で(酒井さんは東京出身、私は京都出身という意味合いにおいて)とても興味深く読むことができた。 新たに京都の魅力を感じる事ができた。 酒井さんに京都をベタ褒めしてもらって、なんだかとても嬉しい。
2024/01/09
さつき
京都と東京を比べつつ、それぞれの魅力に迫るエッセイ。京都は中学の修学旅行を入れても4回しか行ったことがなく、ここ10年ほどは全く足を踏み入れていないので、ひたすら憧れを掻き立てられました。どのエピソードも酒井さんの京都愛に溢れていて楽しく読みました。
2018/04/30
kumako
毎度ながら酒井さんの言葉のチョイスがお上手で面白かったです。京都の"全てを見せないぞ"感がよく分かりました。"様々な悩みに効く寺院が集まる京都は日本中の悩みの集積地"という表現と、「いない」が「いやはらしません」に格上げされていく京都弁の過程が笑えました(確かに「~しはる」は便利で私も使うけど、酒井さんの分析で何故便利なのかが判りました)。俵屋さんで1日籠ってみたいですね…。
2020/04/04
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