人間自身: 考えることに終わりなく
人間自身: 考えることに終わりなく / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
日常の言葉で哲学を語り続けた池田さんのエッセイ集。死の直前の文章も収録されている。難解なところはほとんどなくて、本質に真っ直ぐに切り込む姿勢が小気味よい。権威主義的にならず、誰にも媚びず、考えることそのものを言葉にしようとした姿勢に共感した。46歳という若さで亡くなってしまったが、自分の人生に後悔はなかったのではないかと思う。生きるとは何か、自分とは何かということを真摯に問い続けることができた、という自負を感じていたはずだ。
2014/09/11
Gotoran
2007年2月23日、腎臓癌で46歳の若さで逝去の著者の遺作。「週刊新潮」(2006年8月3日号~2007年3月15日号)、「ブルータス」(2006年3月1日号)、「ランテイエ」(2006年8月号~2007年7月号)に掲載された評論とエッセイ。結構辛辣な考察の時事ネタに加えて著者自身の物事の本質を見抜いた歯に衣着せない言説が小気味よい。決して迎合することなく思索しずれることなく我が道を行き、時としてその舌鋒で周囲から誤解されることもある生き様には敬服と憧憬の念を禁じ得ず。
2018/08/31
里愛乍
この方の本は面白くて、新刊が出る度に読んだものですが、かと言って諸手を上げて賛同するというのではなくて、ただ自分の見えてないものを凄い角度から見ておられる。読んで新鮮だったし気付かされたし考えさせてもくれました。何を隠そう、かの小林秀雄を知ったのもこの方の文からです。この人にこれほどまでのことを言わせる小林とは何者なのか。分からないなりにそれを知りたくて追いかけてきて今、分かったことはこの二人の本は読み終えて終わりでない。むしろ始まり。何度読んでも新しい。それは自分の成長ともいえるのかもしれません。
2017/07/12
双海(ふたみ)
時事問題に結びつけた文章が多く、どうしても説教臭くなってしまっている。池田さんの他の著作は面白いのだが、本書は微妙かも・・・。「小林秀雄 様」という文章は、著者がいかに小林を敬愛しているかがわかる。「繰返し断言しますが、近代日本で、哲学的思索の深さにおいて、あなたと並ぶ人は一人もいません。賢しらな学者や評論家の類はいくらも存在しますが、貴方という存在の前には、そんなものの偽物性は一目瞭然ですね。ああ本物とはこういうことなんだ、これが本物の人間の味わいなんだ、考えることと生きることと書くこととの完璧な合致」
2016/07/21
T坊主
1)読メ読者の方がこの著者の本をたくさん読まれており、どんな人なのか知らなかったので読んでみた。哲学を平易にした言葉で”哲学エッセイ”として確立したと。なるほどすっと読めて(7時間程)、又賛同すること多々あり。2)皆心で感じていても言わない、言えない人が大多数の中、ずばりと本音を書いている。3)考えるとは現象における本質を捉える事。4)生死の前に存在あり。5)稼いだ金の半分を1年以内に使い切らないと税金ー賛成。6)思い込みが人間を不自由にする。7)本物の学者は権威を壊していくべきだ、保守保身になってはだめ
2017/06/07
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