石に泳ぐ魚
石に泳ぐ魚 / 感想・レビュー
モルク
作中のモデルとなった女性から訴えられ8年も争い、出版差し止めと損害賠償の対象となった作品。その改訂版が本作である。柳さん自身と思われる劇作家秀香を主人公に、彼女を取り巻く人々の中にいても感じる孤独感、その特異な家族が浮き彫りとなる。魂シリーズ以来であるが、彼女の作品というよりは、彼女自身に相容れないものを感じてしまう。その男女関係に奔放な生き方、まわりの人への依存など、やっぱり私には無理だ!
2020/05/08
zero1
モデルとなった女性から訴えられ、最高裁で損害賠償と出版差し止めを命じられた問題作(後述)。ということでこの本は改訂版。秀香は高校を中退後、劇作家となった在日韓国人。ルーツの韓国で彼女の作品が舞台化されることに。もちろん主人公は作者の柳も投影されている。光る文章であることは認めるが、後半の堕胎シーンなど散漫さが残念。主人公にも共感できず。オリジナルはどうだったのか気になる。柳は何をこの作品で描きたかったのか。消化不良という評価しかできない。
2020/07/18
おかじ
生きながら失うこと、喪のような生き方。秀香自身が孕む歪みは、誰にも修正できない。在日として境界的に生まれ、どこにも帰属できない不能感。そんな行き場のない閉塞は、どこか里花の皮膚に刻まれた魚のような傷に似ている。
2019/07/10
なお
図書館本。なかなか入り込めない。この手の物語は苦手かな。
2016/09/29
ホレイシア
柳美里氏と同い年だが、作品は好きではない。でもあれだけ騒動になった本だ、改訂版といえども読んでみたかった。で、はっきり言おう、全然大したことはない、時間の無駄であった。「自殺」なんて本まで書いて、死にたい死にたいと言ってるが、処女作がこれだ、相当なしたたかさを感じる。20代のころは共感するところもあったけれど、多分もう読まない。
2010/06/27
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