言葉は静かに踊る
言葉は静かに踊る / 感想・レビュー
奥澤啓
柳美里の書評集である。柳は高校中退。学歴は中卒である。何が柳美里を作家にしたのか。読書だと思う。十代から読書が生きることだという側面が彼女にはある。本書はⅠが「週刊文春」連載の「読書日記」。Ⅱ「言葉は静かに踊る」は様々な媒体に発表されたもの。作家の書評集はたくさんある。どういう本の書評を書くかを知ることは、その作家の人物を知ることでもある。作品だけでなく作家の人物を知りたいという欲求が私にはある。この書評集で深沢七郎と太宰治をとりあげている点は注目したい。柳美里は色川大吉にも親しんでいるようだ。
2014/12/20
May
彼女の作品はほとんど読んでいないはずだが、自分の暗部でものを書く人間(P144)である柳さんらしい書評だなぁと。おざなりの、単なるあらすじを追うだけの、ほめるだけの、と思われる書評も目に付く中で、本書のそれは、彼女の中に取り込まれ、彼女自身が刷り込まれて生まれ出てきたものだ。であるからこそ癖もあり、(特に書評としては)好きになれない人もいると思う。でも、とても読みたくなった作品があったのは確かだし、読んでよかったと思っている。彼女、そして彼女の作品を知る上でも、本書はおすすめだと思う。
2017/06/07
Noriko
読書日記(書評)より、×月×日で書かれる(普通の?)日記が面白い。とはいえ、興味を持った本も多くあり、きっちりメモしました。
2015/06/30
たにし
著者に嫌われているかと思った。怒りをぶつけられて、戸惑ってばかりいた。太宰の項で語るように「受け入れてくれる人を探している」のは、著者自身なのだろう。いい人のフリはできない、体当たりで感情を向けてくる不器用にも見える彼女を、本を閉じる頃にはたまらなく好ましく感じた。
2012/10/25
mutou_tsusato
ブックレビュー本を読みたかったところ、古本屋で発見し購入。週刊誌の連載や文庫本の解説の再録で、一気に読むのは難しい。「×月×日」の日記として書かれている構成で、本のある日常という感じがした。読みたい本が一気に増えてしまったが、太宰治は近いうちに読みたい。
2010/04/11
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