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いま私たちが考えるべきこと

いま私たちが考えるべきこと

いま私たちが考えるべきこと

作家
橋本治
出版社
新潮社
発売日
2004-03-30
ISBN
9784104061075
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いま私たちが考えるべきこと / 感想・レビュー

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Tom

世の中で事件が起こると、「橋本治だったらなんて言うだろう」と思う。2000年代前半の文章であるが、論じられている日本社会の病理のようなものは悪化の一途を辿り、現在極まっているとしか思えない。一般性と個性のくだりで、トーマン・マンの「トニオ・クレーガー」を思い出した。あれはそういう話だよな。ニュースやワイドショーでしたり顔で意見を述べる「個性派」コメンテーターが大嫌いなのだが、それは一般性を確立したうえで個性も打ち出そうとする矛盾が欺瞞であり醜悪に見えるからかもしれない。いつか自分の中に橋本治を生かしたい。

2022/07/17

きゅうり

生き方の、夫婦という形の、教育の、家庭の昔から脈々と受け継がれてきたお手本が崩壊し、自由という「ゆるし」中に放り出されたわたしたちは自分が置かれた環境と自分のことを考えていかなきゃならない。それは決して孤独ではないことを知っていなくてはならない。だってみんなそうなんだから。

2013/05/25

teto☽

「自分」がいて「他人」がいる. 「答えとは,自分と他人とで作り上げるものである」 過去には正解がある,あったという時代はもう終わった 自由という「ゆるし」中に放り出されたわたしたちは自分が置かれた環境と自分のことを考えていかねばならない. 「自由」と聞くと,なんだかよいイメージを少なからず想起するけれども,そうであるからこそ生きづらさもあるのだと思う.「昔はよかった」とまとめがちであるけれども,いま,この環境でどういう結論を出すのか,お互い歩み寄って答えを出すしかないのだと感じた.

2019/09/12

mejiro

予想外の切り口で内容を把握するまで時間がかかった。今回は著者独特の言い回しの効き目で余計に戸惑った。「過去には正解がある、あったという時代はもう終わった」「自分たちの現実を自分たちの頭で考える」。前近代と近代の関係。最後の文章が簡潔すぎて清々しい。

2014/10/27

cafka

"自分のことを考える"が"他人のことを考える"のままの思考放棄に陥って、自分は閉塞感を感じていた。この本の表現を借りると僕はこのような立場だったと思います。どこかにある思想や考え方に権威性を認めて、自分はそれを知らない=考える能力もないとして何がしかの答えを出すことを放棄してしまう。放棄することを自然に感じるような無気力に無自覚なまま生きることを認めてしまう。結局はこの本で言うところの前近代性に縛られて、縛られてるのをいいことに考えようとしない自分がいたと思います。「ゆるし」を得たことだし、考えよう。

2013/01/21

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