KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

リア家の人々

リア家の人々

リア家の人々

作家
橋本治
出版社
新潮社
発売日
2010-07-01
ISBN
9784104061129
amazonで購入する

リア家の人々 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

れみ

砺波家の文三・くが子夫妻と、その娘の環・織江・静の三姉妹を中心にした物語。半分くらい読んで、数年前にすでに読んだ本だって気づいたけど、ほぼ忘れてた^^;文三の生きた時代背景を家族の物語のなかに織り込み、かなり事細かに登場人物たちの心理状態を書き込むことで、家族とか家庭とかいうものに対する一般的な考え方、その時代の大きな流れのなかでの人々の考え方(それは著者の考え方なのかもしれないけど)を、こうだったんですよ、とリアルタイムでそれを知らない世代に伝えたかったのかな…となんとなく思った。

2019/08/13

クリママ

説明のための序章かと読み始めるが本文だった。明治の終わりに生まれた帝大出の官僚の父親。かなりぼんくら。身勝手な長女、次女。父親に唯一可愛がられた末娘。東大受験のために下宿する甥。戦後から現在への家族の有様。それぞれの思い。父親は私の父と、甥は夫と同世代。父は何も語らなかったが、あの厳しい時代を生きてきたのか。家族が自立していく導入と思われるが、最終場面の学生運動で東大入試が中止になった学年の選択は私の知人たちとは異なり、ずっと感じ続けてきた違和感は、同じ時代でも生き方は人によって違うということだった。

2021/07/23

いくら

これは面白い!リア王のストーリーは殆ど忘れてしまっていたけれど、長女の環と次女の織江の諍いを目の当たりにし、ああ、このイヤな感じ、思い出しました。先立たれた妻にも愛情を注いだ末娘の静にも何一つ気の利いた言葉をかけてやれない不器用な文三ですが、愛すべき人物です。戦後史、GHQと中央政府の関わりや学生運動の流れも詳しく描かれていて読み応え十分です。

2013/02/20

ヨーイチ

小説らしい小説。しかし、作者は所謂小説家ではない。ここら辺が小説というジャンルの適当さと言うか、面白さなのであろう。作者独特の細部を大事にした描写で戦後史が淡々と語られて行く。時代が主人公なので、登場人物は皆、作者から等しくつきはなされている。そこに妙なリアルさがある。ラジオの件は上手い!と感嘆した。戦後の始まりが、活写されていた。作者の戦後史は傾聴に価すると思うが、より深い理解の為に「二十世紀」橋本治・筑摩文庫という格好の副読本を紹介しておこう。まあ、小説なので野暮といえば野暮なのだが、、、。

2013/02/04

宮永沙織

東京帝大のリベラル派の文三は戦時中文部省の役人にされ、戦争責任をとって公職を追放される。荒れた生活を送る事となり妻のくが子に苦労ばかりかける事となる。やがてくが子が死に、二人の娘が嫁に行き、一人残った娘静子と東大を目指す甥とともに安田講堂事件や全共闘の嵐が吹き荒れる。

2011/02/07

感想・レビューをもっと見る