水 本の小説
水 本の小説 / 感想・レビュー
starbro
北村 薫は、新作中心に読んでいる作家です。 タイトルから水に纏わる短編小説集かと思いきや、過去の作家に関する文学エッセイでした。著者の文学に対する造詣は感じられるものの、少し退屈でした。猫はあまり登場しませんが、猫の挿画は味わいがあります。 https://www.shinchosha.co.jp/book/406616/
2022/12/28
紅はこべ
Eテレの「読書の森へ本の道しるべ」で鹿島茂先生が徳田秋声の『仮想人物』を挙げておられたが、北村さんも秋声の一推しが同作。尊敬するお二人が推挙される作品なら、読まなくては。徳田秋声は『あらくれ』を題名を知っているだけで未読。自然主義文学って食わず嫌いで未着手。藤村も花袋も未読。図書館にあるかな。
2023/01/26
Willie the Wildcat
関係、関連、結合、所属、連続など、意外性が齎す繋ぎ。この意外性が、起句⇒承句⇒転句⇒結句の流れに、”旨味”を醸し出す。特に印象的なのが、言葉の綾を楽しむ「”クモ”と風呂」。印象の強制が補助線に甘える体質となり、感性が鈍る。創造・想像の欠落の警鐘。頭に浮かんだのが、お気に入りの一冊である『道程』。亡き父から無言で手渡され、年齢を重ねて異なる読後感を味わう。次に、日本語の”調子”を問う「犀川と魚眠洞」。私の場合、古文書を重ねた。その当時の空気を感じる楽しさ也。
2023/12/16
tamami
新潮社のPR誌『波』に連載されたもの。著者は、本、と言ってもほぼ小説を中心に、近代文学作品とその周辺に焦点を当て、居合わせた担当者や著者手持ちの古書を肴にしながら、想像の翼を広げていく。内容的にはかなりマニアック(?)な話題が多く、私的にはその話なら判る、と言うレベルのものは少なかった。一方で、映像や音楽に関する話題も多く、著者の趣味の広さ、深さを窺い知ることができる。最近は「本や文学作品」に関わる本を読んでは、当該作品を眺めることが良くあり、その意味では近代文学ふり返りの道具立てとして大いに役に立った。
2023/03/29
ぽてち
タイトルには「小説」とあるが、以前に読んだ『雪月花: 謎解き私小説』と同様、小説とはいえない。私小説というのも苦しくて、エッセイのほうがしっくりくる。もちろん、本書に書かれていることのすべてが虚構だったらすごいが……。北村さんの日常に起きた小さなことを起点に、あたかも水が流れるように様々なことを思索していく過程を描いた作品だ。それは本の話に限らず、落語や歌舞伎にまで及ぶ。いつものことだが、その豊富な知識とそれを引き出す能力に圧倒された。
2023/01/02
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