失われたパリの復元: バルザックの時代の街を歩く
失われたパリの復元: バルザックの時代の街を歩く / 感想・レビュー
Shintaro
鹿島茂の著作のなかで最も立派な本なのではないか。本作は鹿島茂が大枚をはたいてマルシアルの銅版画集『いにしえのパリ』を入手したことから始まる。オスマンの都市計画前の自然発生的都市としてのパリを余すところなく捕らえた画集、それがバルザック、ユゴー、ゾラなどと共に惜しげもなく引用されているのだ。鹿島茂のマニアックな蘊蓄が発露されており、読者は時間旅行者となって文豪とともに当時のパリを散策する。『ゴリオ爺さん』のラスト、ラスティニャックの叫びを覚えているだろうか。鹿島茂は本作によってパリとの決着をつけたのだった。
2017/07/13
春ドーナツ
先日の午前中、ハンバーガーショップの帰りに玄関脇にA社から届いた巨大封筒が立てかけてあるのを見つけた。開封して本書(雑誌ブルータスを縦に少し長くした感じ)を両手で抱えた途端、思わず口角が上がっている。しみじみいい買い物をしたと思った。自室座読という私的に特殊に紐解いていく(寝ころびと外出先は併読でエッセイ集)。土地勘のようなものを得るために、何度も何度も地図を見返す(骨の髄まで堪能するためには必要だと思う)。パリに疎いので点が線になる味わいの数々は一入である。これはねえ、バルザックを再読したくなりますね。
2022/12/17
takao
☆19世紀中頃、ナポレオン三世がパリ大改造を実施、別の都市に。
2017/06/03
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