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陛下

陛下

陛下

作家
久世光彦
出版社
新潮社
発売日
1996-02-01
ISBN
9784104101016
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陛下 / 感想・レビュー

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Lumi

二・二六事件あたりの歴史が分かっていればもっと深く読めたのかな。日本史とってないから忘れちゃった。 すごく比喩表現が綺麗だった。梓は妄想癖があるのかなー?私は日常の中であんなに想像力働かないや。金木犀の香りは分からないけど、なんか金木犀の香りがただよってきてるような気がしてしまった。なぜだか自分が阿片窟みたいなところにいて、空間にもやがかかってて甘いような濃い香りがむんむん漂ってるような気がしてきて、読んでいて頭がぼっーとしそうな感じがした。気のせいだろうけど。それくらい、なんか濃厚なかんじ。

2017/09/11

林 一歩

女の逞しさと反比例した男の女々しさが際立つ久世氏らしい佳作。とても美しい文章に少し酔ってしまった。

2014/08/24

まゆら

二・二六事件を決起させる背景を久世光彦が描くとこんなに色っぽくなるのかと…感服。実在の人物や出来事が出てくるがあくまでフィクションであり、メインは陛下への恋闕の情一点である。交互に展開する女郎たちの逞しさや母性なども端々に書かれているが、全体として男達の陛下への濃すぎる愛を薄める程度の効果しかない。陛下の写真を義眼の裏に貼るもの、皇居のお濠に飛び込むものなど、これでもかと暴走していて盲目ぶりが凄い。総ては恋闕の情というものに収まるらしい。単なる忠誠とも違う感情に唯々圧倒され、濃厚な美文に酔いました。

2014/04/28

うい子

二・二六事件に関わろうとしているであろう、陸軍中尉と女郎の体と心の交流を、金木犀の甘く滴るような匂いを交えながら描いた作品。後に、この事件の首謀者として死刑にされた義眼の魔王、北一輝も登場しており、作品全体に言いようのない重々しさが漂っている。恥じることの快感を知った男をいつまでも待ち続けている女。二人の間で、いつ何時も、「陛下」は静かに目を見開いている。意識すればする程エロくなってゆくとんでもない作品。

2010/12/08

月珠

帯にある通り、まさに2.26事件外伝。昭和初期当時の天皇陛下に対する軍人一家の尊敬の念と恋と近親相姦的観念と…が、美しく絡み合う。正直、物語を理解しようとするのは困難なので、その表現、文章の美しさ、登場人物を通して感じる作者の眼差しの温かさを堪能した作品でした。北一輝の義眼に、そんなロマンチックな、もといフェティッシュな仕掛けをするとは…久世先生さすがです。笑

2019/10/08

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