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聖なる春

聖なる春

聖なる春

作家
久世光彦
出版社
新潮社
発売日
1996-10-01
ISBN
9784104101023
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聖なる春 / 感想・レビュー

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九鳥

再読。感傷の形をした小説。ひっそりと蔵に籠ってクリムトの贋物を描き続ける痣のある男と、終末の絵を描くキキ。身を屈めながら、薄暗い場所で春を待つ者たちを、クリムトの絵が彩る。購入するまで何度も何度も図書館で借りたせいか、小説の中の蔵のイメージが、レンガ造りの小さい図書館の風景と重なり、蔵に差し込む春の日差しを夢想するとき、私はあの図書館の広場の木漏れ日を思い浮かべている。

2009/09/09

林 一歩

クリムトの贋作画家を巡る大人のお伽話。若い愛人と猫に見守られ冥府へ旅立つのは、個人的に理想的な死に方だと思う。

2014/08/24

スノーシェルター

静かに、ゆっくりと、聖なる春を待つ男。表現が美しい。孤独と寂しさ、嫉妬や小さな幸せ。何処へ向かうのだろう。聖なる春とは、なんだったのだろう?

2010/09/28

nonpono

久世さんはいろんなことを教えてくれる。20代、ベトナムのハロン湾クルーズ、クルーズと言っても小さい船だが、わたしにとって、昼間からベトナムのビールを飲み、この本を読んだのは、黄金の時間に等しい。初めて知ったクリムトの絵、贋作家、キキ、みんな、ものがなしい。一緒に眠る関係良い。誰も正解を知っているのに、知らないふりをする。本書の表紙のクリムトの絵を40代で上野の森で見れたとき、そこから離れられなかった。ああ、20代のベトナムからのわたしの彷徨が報われたような気がした。子守唄みたいに読み返した大好きな久世さん

2024/02/09

九鳥

子供のころに図書館で読んだ。その後、文庫も買ったけど口絵の少なさに失望して、古本で買いなおした。自分にとって大切な作品。

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