骸骨考:イタリア・ポルトガル・フランスを歩く
骸骨考:イタリア・ポルトガル・フランスを歩く / 感想・レビュー
どんぐり
イタリア、ポルトガル、フランスの教会や納骨堂にある骸骨を見ながら、養老先生が自分の身体から意識を飛ばしてあれこれ思うことを記している。『身体巡礼』の前作同様に、骸骨を巡る旅というテーマはあるけれど、紀行文とは直接結びつかない趣味の昆虫採取や、ソルフェリーノの戦いからアンリ・デュナンとナイチンゲールに言及したり、STAP細胞の発見とだましなど話はいろいろなところへ拡散していく。これが骸骨と何の関係があるのかと思うけど、それを考えると釈然としないので、骸骨を前にした養老先生が考えた脳化社会の思索のアレコレとし
2017/05/01
姉勤
欧州各国の寺院や納骨堂、墓所をめぐり、骨(ホネ)について考察するのは、身体に対する骨の割合ほどもなく。かといって紀行文でもなく、エッセイとも言い難い。話題は多岐にわたり、学術的内容を期待すると骨が折れる、のは冗談で。将来、技術により視聴覚や、触覚、経験すら情報化、等値化され、個人(著者はすでに人間である限り、個人という独立的存在に懐疑的)である境界が曖昧になり、人間の在り方が変わるかもしれない中でも、時を超えた過去や思い入れを含む骨には、情報化仕切れないものがある、と。今後の生き方の骨(コツ)にしたい。
2018/12/31
さきん
西洋の納骨堂に飾られる骸骨の数々。日本人には理解しがたい風習を著者は探訪し、考察する。身体観が違うのと、死者に対する観念が違うようだ。ポルトガルは知識不足で自分にとっては地名や人名が良くわからなかった。何冊か著者の本は読んでいるので、新たに目が開かれる思いは経験しなかった。先に中欧を訪れた身体巡礼を読むと良さそうだ。
2017/01/05
棕櫚木庵
読書メーターで教えてもらった本.養老氏の本としては,『バカの壁』,『養老訓』に続いて,3冊目だと思う.巻頭,48ページに渡りカラー写真が72枚.多くに骸骨が(それも集団で)写っている.どこかで見たような写真も多いが,これだけ集まるとインパクトが大きい・・・というか,かえってサバサバする.「想えばそこに複雑なことはなにもない.どうせ死んで骨になるだけ.こういう『身も蓋もなさ』が私は大好き」(p.26)
2018/01/10
スプリント
骸骨にまつわる旅行記&エッセイです。題材と著者のシニカルな物の見方がマッチしていますね。
2017/05/07
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