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ニッポニアニッポン

ニッポニアニッポン

ニッポニアニッポン

作家
阿部和重
出版社
新潮社
発売日
2001-08-01
ISBN
9784104180028
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ニッポニアニッポン / 感想・レビュー

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けい

ニッポニアニッポン、鴇、朱鷺。青年主人公、春生がどの様におかしくなって行ったかが、丁寧に描きこまれる作品。ただひたすらに自己の頭の中で繰り広げられる妄想。その中で彼が到達して行く孤独で狂った世界。でもある意味人らしい考え方で・・・。彼の行動が、別の一人の青年が立ち直って行くきっかけに・・・良かった。いや良くない。

2016/06/11

Y2K☮

日常に絶望した若者が誤解と思い込みから身勝手な大義に目覚め、暴走し、結局は己と他人を無意味に損なう。踏み止まる可能性が用意されていたのに、という点も含めて生々しい。トキに関する諸々をヘイトへの戒めなど何かに見立てる読み方も可能だが(過去の読了時はそれに囚われて肝心の主人公をおざなりにしていた)、素直に筋を追うだけでも苦い。160ページ弱でここまで書けてこそ芥川賞作家。やはり「グランド・フィナーレ」ではなくこっちで受賞するべきだった。常にタイムリーな問題作。出版社はこの本を新刊書店で買える状態にしてほしい。

2022/09/02

春が来た

人間により命を奪われ続けた後、絶滅危惧種と命を守られ繁殖させられと、人間シナリオに動かされるニッポ二アニッポン=鴇。鴇に異様な執着を持ち、時には交尾に自尊心を傷付けられる。自分は正しい症候群のとち狂った10代男子の断念しきれぬ理想郷語り。思弁ゲームと破壊欲。狂ってるなーと思いながらも完全な他人事とも言い切れない気もしないでもない。「鴇 現在」「ニッポニアニッポン 洋楽」「阿部和重 小説」ほら、今日の私も検索症候群。あ、最後のオチは、笑っちゃっていいんですよね?洋楽が流れ始めたそこだけがスローモーション。

2021/02/07

不純

期待以上に面白くて大満足でした。褒められるべきではない言動が目立つ主人公ですが、なぜか読むうちに共感というべきか、同情に似た感情が湧き出てきて、激励したい気持ちで一杯になってしまった。逡巡と試行錯誤を繰り返しながらも、着実に計画へと邁進している姿は、進む道を間違えなければ普通に生きれたのだろうなということを思わせて、悲痛に感じます。佐渡についてから、特に文緒と出会ってからが捲くし立てるようで更に面白く、最後は哀切極まりない。洋楽に関しての造詣が深くないので後から表紙がクイーンのパロディだと気づきました。

2013/05/17

zumi

「弑する」という言葉を、まさに具象化したような小説である。「不敬小説」の一端を担う阿部和重が、本作で選択したのは、「ニッポニア・ニッポン(=トキ)」を殺すことで、国家に抗うという手法。自分には、どう読んでもトキ=天皇という図式が頭から離れなかった。国家に管理され人々のゴシップの対象となるもの。存続させることが第一のもの。象徴ーーとくれば、そこから連鎖するイメージは一つしかない。元陸自衛官の息子が「密殺」を選択するプロットそれ自体の不敬性!アベカズ、恐ろしいですね•••

2013/12/07

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