尋ね人
尋ね人 / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
久しぶりに谷村さん作品を読みました。読みやすさはイメージ通りで、北海道出身作家さんならではの、北海道描写はさすがでした。末期のガンにおかされた母の願いを聞き、叶えるべく帰郷し共に暮らす娘との、なんてことない日常のやりとり、風景が淡々と綴られます。舞台は函館で、本作を読むと函館の街をしっかりと歩きたくなりますね。物語はどんどん展開していき、読むペースもあがるのですが、個人的には最後まで集中力が続かず、キモチ的には尻切れ状態での読了となってしまいました。でも、また他の谷村さん作品、読み始めてみようかなと。
2022/04/30
あつひめ
テレビドラマを観て原作を読みたくなった。原作を読んでみてドラマはあの短い時間の中で原作が表現したことを同じように映し出したと感心した。ノスタルジックな街並みを思い描かせる作風の中に、洞爺丸の悲劇を今も函館の人は心に秘めて暮らしていることをそっと書き添えている。母の昔の恋人のように、誰にも知られずに海の星になった人も多かったかもしれない。そして同じように帰らぬ人を待ち焦がれ、ずっとずっと忘れたくても忘れられない一つの真っ黒い靄になっている人がたくさんいるだろう。人には明かせない切ない思いが表れていた作品。
2013/03/27
モルク
仕事のパートナーでもあった恋人と別れ末期ガンの母の看病のため函館の実家に戻った主人公。その母から結婚前に愛した男性、突如消息を断った彼を探してほしいと頼まれる。過去に交わした手紙による少ない手がかりから、少しずつ真実に近づく。母の恋と主人公の元彼への思いが交錯する。身勝手な男たち。それに気づきながらも愛を棄てきれない女。返事がなくとも手紙を出し続け、前に貰った手紙の山を結婚してからも持ち続ける…私には無理だし娘にも頼めない。これが純愛なのか。函館と仙台に無性に行きたくなった。
2021/07/28
ぶんこ
恋人に裏切られ、末期癌の母の看病で函館に戻った李絵。その母からの最後の頼みは、結婚前の恋人で失踪した大橋を探すことでした。失恋したばかり、亡き父を愛していただけに辛い。それでも母の強固な願いに嫌とは言えない。郷里に許嫁がいて、学校も除籍されていた大橋。言えない大橋は逃げ出す。急死の報があればまだしも、行方不明は辛い。どうしても引きずる。周囲の大切な人々を不幸にして逃げた人。やり直そうと函館に戻った大橋。運命の歯車が狂ってしまった。やるせない。
2022/08/21
サトシ@朝練ファイト
初読みの作家。「急にいなくなった恋人を探す」という作品を読むのは佐藤正午の「ジャンプ」以来だが、あちらは一気読み、こちらはゆっくり後戻りしながら読んだ。思ったよりいい作品でした。
2015/07/30
感想・レビューをもっと見る