日蝕
日蝕 / 感想・レビュー
ねこ
「ある男」を読み平野啓一郎の最初の作品に興味が湧き読んだ。学生時代に書いた本書は1400年代後半のヨーロッパが舞台であり、主人公はカトリック教徒ドミニコ会の寡黙な学僧。異教徒の哲学書「ヘルメス選集」完全版を求めフィレンツェに行く途中、司教に勧められ、ある村の錬金術師ピエェルを訪ねる話。クリスチャンレベルの教会史と聖書の理解が無いと味わえる濃度が違うだろうと感じた。文章は古い時代っぽく書いてあるが分かりやすく書いてもある。「ある男」と「日蝕」は同じ著者が書いたものと思えない程違った書籍でしたが嫌いでは無い。
2022/02/09
のり
中世のヨーロッパで神学僧「ニコラ」が、己の信仰に磨きをかける為に旅に出る。司祭の堕落、異端信仰の増幅。更に錬金術との遭遇。天の采配か?基督の導きか?時代の転換期と壮絶な体験を回顧する時に導き出される答えとは…
2017/11/23
れみ
若いキリスト教の学僧ニコラが旅の途中で訪れた村で錬金術師に出会うお話。漢字とか文体とかが私にはだいぶ難しくて大変だったかも。でもお話は面白いというか興味深い部分がたくさんあった気がする。
2014/08/30
クリママ
15世紀、巴黎(パリ)大学で神学を学ぶ学僧が「ヘルメス選集」を求めて仏稜(フイレンツエ)へ向かうが、途中の村、維奄納(ヴイエンヌ)で錬金術師に出会う。両性具有者(アンドロギユノス)、魔女狩り、処刑、日蝕、その中での神秘体験。擬古文と言われる今は見なくなった古い漢字、熟語、言い回しはその時代を強調している。青年の著した青年の物語。両性具有者に自分を重ねるのは、後に上梓された「決壊」崇の姿に繋がっていくようだ。
2019/03/16
チヒロール
芥川賞受賞作。三島由紀夫の再来と話題になった著者が京大在学中に発表した作品。内容が非常に難解で、言葉も正しく読むにはある程度の国語力は要る。よってかなりの年月積ん読したままだった。三島由紀夫の潮騒の方が、はるかに読みやすい^^;南仏で若き神学僧が体験した錬金術。え?錬金術って何?とクグり(Googl)ながら読み進める。アンドロギユノス(両性具有者)が地上に現れ、天に舞い上がりながら交わる場面。黒い太陽となった日蝕。月との結びつき。この辺りのは描写は官能的でグロい場面も多々あるが、読み応えはある。
2014/02/11
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