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からくりからくさ

からくりからくさ

からくりからくさ

作家
梨木香歩
出版社
新潮社
発売日
1999-05-01
ISBN
9784104299010
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からくりからくさ / 感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

『りかさん』を先に読んだ為か、妙に重厚に感じてしまう。成長して大人の女性となった蓉子と、亡きおばあちゃんの家で暮らす三人の仲間。マーガレットは『りかさん』に登場した人の子孫?全く喋らないりかさん。その着物で、紅地に染め出された菊の花と楽器の琴、それにこづち?撥?のような模様。斧(よき)琴(こと)菊(きく)ですね。加えて人形の来歴と、それにまつわる血縁のつながり、染織・・と素材だけ見れば横溝正史さん。そして残りページも少なくなり、ようやく喋るりかさん。それは旅立ちの言葉。しかしその旅立ちは映像が浮かぶような

2012/09/08

あつひめ

縦に横に様々な感情、関係がみっちりと織り込まれるような感情がひしひしと伝わってきた。化学物質ではなく自然の植物に含まれる長い年月受け継がれてきた成分が人の感情や思いのような血のような。なんともさらりとは読みきれない様々な感情が色濃く、緑の森の奥のような植物の呼吸が物語を解説して来るような不思議な気持ちを感じられた。変に読後感が心地よくて。もう少し梨木ワールドを堪能したく他の本も読んでみようと思う。

2017/06/19

さつき

染色やキリム、紬など手仕事を愛する蓉子、与希子、紀久、マーガレットの共同生活。片隅で機織りをしてきた女性たちへの眼差しや植物の力、唐草のように絡み合う宿世の縁が繊細に描かれています。興味を持てそうなテーマなのに、何故か今の私の気分にはしっくりきませんでした。『りかさん』を先に読んでしまったせいかな。子供だったようこちゃんと蓉子があまりぴったりと結びつきませんでした。

2021/12/13

美登利

何とも濃い奥の深い物語でしょうか。初めは少女趣味の延長上にあるような駆け出しの芸術家の女の子たちの物語かと思っていましたが、それが連綿と繋がる昔からの言い伝えから、果ては海外における紛争までに話は及び、個々の女の情念の深さを表し、全てを結びつけての終焉。前作は児童書でしたが、主人公の蓉子が成長したように、物語も突き抜けるほどに深さを増しています。途中、この話はどちらへ向かっているのか、何を表現したいのか分からなく感じていましたが、私はこれほど様々な余韻を残す物語を読んだことは今までなかったように思います。

2014/06/06

藤月はな(灯れ松明の火)

ジェンダー論のレポート資料と精神の調律として再読。ジェンダー視点で読むと男性(神崎や奥野)は女性の感情を揺さぶりながらも「受容する」ということを強固にさせるファクターという役割を担い、家父長制を連想させる「家」の代表である井ノ川家でも女性を中心にした共同体という書き方になっています。同時期に馬場あき子さんの『鬼の研究』を読んでいたためか、能面の表情の意味が分かりやすく、りかさんに託された願いの意味が分かった瞬間、泣いていました。でもやっぱり、何度、読んでも心にしんしんと染み渡る滋味のような本で大好きです。

2014/07/24

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