沼地のある森を抜けて
沼地のある森を抜けて / 感想・レビュー
ままこ
混沌としていて摩訶不思議。家宝の奇妙なぬか床に隠された秘密とは…。過去と現実と幻想が入り乱れ美しく壮大な物語が紡がれる。キッパリとした久美の性格も好ましかった。光ある清々しい余韻が残るラスト。梨木ワールド存分に堪能できた。
2020/02/15
美登利
いやいや、これほど時間を掛けて読んだ本は無い!と思います。梨木さんの植物に対する思いは熱すぎるでしょう?植物どころか、太古の細胞の話が現代へと繋がる…かなりややこしくて壮大過ぎて気が遠くなりそうな思いに駆られながらようやく読み終えました。所々に挟まれている、過去の人物、人物でも無いのも含めて、難解で挫折しそうになりました。現代を生きる久美と風野さんの関係の、面白さが有ったから読めたのかもしれません。伝えたいことは、何となく分かった気持ちにはなりました。あらすじだけ読むとこんな本だとは思えませんよ(笑)
2014/09/18
Gotoran
「先祖伝来のぬか床」を巡って繰り広げられ、「いのちの繋がり」へと広がってゆく生命の物語。血の繋がりの不可思議と不条理が、酵母や菌類などの命の不思議を背景として幻想的に語られる。もう一つの入れ子形式の物語「かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話」が、初めは違和感を覚えつつも読み進める内に主題に結び付いてゆく。最後の詩文を読みつつ、「いのちの繋がり」に思いを馳せながらしみじみと読了。著者独特の世界観にまたもや魅了された。前作エッセイ『ぐるりのこと』で、著者は“物語を語りたい。そこに人が存在する、その大地の↓
2012/11/24
クリママ
母から叔母、そして久美のもとへ来た家宝のぬか床。家族の歴史の話かと思いきや、何やら不可思議な雰囲気に。科学的でもあるようだけれど、「・・・脳がぬか床のようだ。」 そして、導かれるように故郷の沼地へ。ミクロでありながら、果てしない広がり。「海うそ」や「裏庭」を思い起こす風景描写もあるが、作者の発想にただただびっくりするとともに、もうひとつついていけない自分がいる。
2016/11/10
だんたろう
生命科学の不思議をたっぷりと含んだファンタジーで、この作品の表現方法には驚かされた。細胞が意思を持って、なおかつ冒険もするなんて、なんてドラマチックなんだろう。細胞が今も自分の身体の中で、なにかを思っているなんてちょっと怖い気がするし、変な気をおこさないでと思ってしまった。全てのものは境界で構成されていて、それを乗り越えて混ざり合うことの素晴らしさも描かれている。簡単には感想を書けないような、奥深い作品。
2014/12/13
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