乱鴉の島
乱鴉の島 / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
ビーンズ文庫で麻々原絵里衣さんのイラストで火村シリーズが刊行されるようになったので懐かしくなり、再読。鴉が飛び交う島と妙に強硬だが奇妙な人間関係が不可解さを増しています。命の洗濯をする二人のやり取りに和みます。しかし、幸せな一瞬と一寸先は闇というような続く絶望、矛盾すると分かっていても永遠に変えるための欲と合わせた純粋さがひたすら、遣る瀬無いです。そして死でもあり、一瞬の幸せに反転する続く絶望を象徴する鴉は羽ばたく。またとなめけり。
2012/08/28
ばりぼー
下宿の婆ちゃんの勧めで「命の洗濯」に出掛けたアリスと火村が、「鳥島」と「烏島」を取り違えて烏の群れ飛ぶ島に連れていかれてしまうという、これは「金◯◯少年の事件簿」か?と疑う安直な発端に、一度挫折した本。事件そのものは「いたってありふれたもの」であるにもかかわらず、事件の背景はかなり「常識はずれ」。乱歩の「パノラマ島奇譚」を仄めかし、聖なるカリスマと俗なるカリスマの造型、ポーの詩「大鴉」から「NEVERMORE」の効果的な引用等、不自然と思わせないような舞台設定作りに腐心されたのがよくわかります。
2017/02/16
そのぼん
鴉が乱れ飛ぶ島での殺人事件…。 淡々とした世界観ながらも、鴉が不気味な効果を醸し出していました。
2012/06/11
タカギ
面白かった。アリス&火村のシリーズの孤島もの。このシリーズは論理は文句のつけようがないのに、動機に首を傾げることがたまにあるが、この話は割と納得できた。およそ15年前の作品だけれど、古臭さも感じない。アリスと火村は「島間違い」から目的地とは違う島に連れて来られてしまう。やがて起こる殺人事件。島に集まった人たちには共通の秘密があるようなのだが、それが何かわからずフラストレーションが溜まる。可愛い年少読者に相好を崩すアリスにほっこりした。
2020/06/14
Our Homeisland
それほど好きな作家ではないのですが、この読書メーターを使い始めてすぐに読みたい本に登録していた本を、やっと、読み終わりました。前にも、火村シリーズの本は読んだことがありました。その時には、有栖の関西弁が鼻についたりして読みにくいなと感じましたが、これは、そのような読みにくさもなく、まずまず、スムーズに読み進めることができました。なかなか洗練されていてまとまりのある小説だと思いました。もともと、このような本格ミステリのジャンルがそれほど好きではないのですが、起伏のあるストーリー展開を楽しめました。
2015/07/08
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